まさに剛腕の投球だった。プロ注目の最速151キロ右腕、早坂響投手(3年)が、千葉経大付戦に中1日で今大会3試合目の先発。「2年半ずっと練習してきた。こんなところで終わりたくない」。無我夢中で延長11回、169球を投げきり、初の16強入りへの扉をこじ開けた。

身長176センチ、68キロ。さほど大きくはない体も、プロ野球選手も指導する北川雄介氏の指導の下、体のバネと連動で効率よく力を生み出し負担のないフォームを手に入れた。初めて夏舞台で、応援にも背中を押された。「いい場面で自分の一番いい球を投げ、観客が声をあげる。そういう投手が一番魅力的。僕はそういう投手になりたい」。14日の我孫子東戦で完投後、水素カプセルやトレーナーの治療で最善の準備をした。

マウンドではすべてを出した。「真っすぐだけでなく、スライダーも武器なので」。相手が速球狙いと見るや「かわしていこうと思いました」。直球とスライダーで打たせて取り、この日の最速は147キロ。延長タイブレークに入っても、1球1球丁寧に投げた。

早坂の熱投が、打線に流れを呼び込んだ。11回1死一、二塁。桜井幹太内野手(3年)が右前へ運び、二塁走者の早坂がサヨナラのホームを踏み、スタンドから拍手と歓声を浴びた。「めちゃめちゃうれしい!」と笑みがはじけた。多くのたくさんの観客を魅了する投手に成長を続けている。

次戦は19日、プロ注目の平野大地投手(3年)がエースでセンバツ8強の専大松戸と対戦する。早坂は抽選決定後に「平野投手と投げ合いたい」と話していた。千葉の最速151キロ、剛腕投手対決へ。「専大松戸を倒して上にいきたい」。早坂の夏は、まだまだ終わらない。【保坂淑子】

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