日本工大駒場の伊藤海斗外野手(3年)に打席が回ると、三塁側スタンドに、オレンジ色の「伊藤海斗」タオルが掲げられた。

4回まで打線は無安打に抑えられていたが、5回に意地を見せた。5回2死一塁、伊藤は初球をとらえ、チーム2本目の安打となる中前打。ベンチに向かってガッツポーズを決めた。試合は5回コールドで敗れたが「4歳から始めて13年間、野球をやりきりました。こういう結果になって悔しいけど、笑顔で終わることができました」と涙はなかった。

「伊藤海斗」タオルは、巨人でプレーした同姓同名の選手のグッズ。酒田南(山形)で主砲として活躍し、高校通算36本塁打。19年ドラフト6位で巨人入りし、昨年までプレーしていた。「全く同じ名前で、びっくりした。ドラフト会議の時は気になって、生中継で見ていました」と振り返る。

スタンドで、タオルを掲げていたのは同高のOBでもある兄・龍成さん(23)。「最後の打席でヒットが出たときは、うるっときました」と明かした。

兄の影響で野球を始め、兄の背中を追って同じ高校に進学。選手は引退するが、出身の品川ボーイズで指導者としての道を歩み始めるつもりだ。「家の近くで素振りを見てくれたお父さん、お弁当を作ってくれたお母さんに感謝しています。支えがあったからここまで野球を続けてこられました。楽しかったです」。

指導者になったら伝えたいのは、あいさつや礼儀の大切さ。「これからは、恩返しをしたいです」と話す表情は明るかった。

【高校野球 各地のスコア・日程】はこちら>>