群馬大会で“兄弟アンパイア”が実現した。前橋育英-市太田のゲームで球審を務めたのは、江積利雄さん(50)。そして一塁の塁審を務めたのは、弟の厚次さん(45)だった。利雄さんは「兄弟が同じ試合のクルーというのは群馬では初めてかもしれません」と話すほどのレアケースだ。
江積兄弟が同じ試合を担当するのはこの夏初めて。利雄さんは「試合前は(弟へ)ミスするなよと思っています」と笑えば、厚次さんも「同じ試合を担当するのは複雑ですよ。兄にミスをカバーされたくないので」と苦笑いを見せる。それでも「ゲームに入ってしまえば同じクルーですから。4人のクルーでミスをカバーし合います」と口をそろえる。試合中はあくまでも「審判員」として試合の進行に集中する。
だが、お互いを意識する時もある。それは「別会場で同じ時間帯の試合を担当している時」だ。「弟よりしっかりしないと」と利雄さんが言うと、厚次さんも「私もそういう気持ちはありますね」と引き締まった表情を見せる。
2人は元高校球児だ。利雄さんは高崎商(群馬)時代、ベンチ入りはならなかったが、チームは90年夏の甲子園に出場。卒業後は高崎市役所に就職し、軟式野球を続けた。しかし30代後半、肩の痛みから野球が続けられなくなると、「今までお世話になった野球に恩返しがしたかった。それと審判員の高齢化と減少ということが気になったんです」と審判員になった。
東農大二(群馬)OBの弟厚次さんも高校時代はケガに悩まされた。卒業後は草野球でプレーしていたが、利雄さんに誘われて審判員の道へ。こうして江積兄弟は野球をプレーする側ではなく、ジャッジする側に転身した。
審判員として最も大事にしていることは何か。
利雄さん 球審の時はキャッチャーの子の名前を覚えて気持ち良くプレーできるように。あとは水分補給の呼びかけですね。
厚次さん どの試合も裏方として全力で。あくまでも補助員なので、選手が悔いなくやれるようにということを意識してます。
いかなる時も“選手ファースト“。この夏も炎天下で懸命なプレーを見せる高校球児を、兄弟審判員が全力でサポートする。【黒須亮】

