<高校野球埼玉大会:春日部東4-3市川越>◇23日◇5回戦◇UDトラックス上尾スタジアム

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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市川越(埼玉)の背番号1、西見一生(いっせい)投手(3年)は「やっぱり野球が好きです。人生を通じて、続けていきたい」と涙をふいた。今夏3度目の先発で、3回を投げて被安打2の2失点、63球。その後はベンチから仲間を鼓舞し続け、声は枯れた。

最後まで野球部にいたから、達成感がある。昨年、「新しい代になったらお前が投げるんだぞ」という周囲のプレッシャーに押しつぶされた。ケガも抱え、野球から離れたかった。6~7月は休部し、学校も1週間休んだ。それでも、チームメートから「先輩が最後なんだから見に来いよ」と誘われ、昨夏の埼玉大会をスタンドで応援。思い切りプレーする先輩を見て、気づいた。「自分の本当にやりたいことは、やっぱり野球なんだ」。新チームから復帰した。

昨秋から、野球ノートを始めた。毎日書くことで、頭の中も心の中も整理できる。最後の夏は背番号1を堂々と背負った。「仲間と、監督をはじめスタッフのみなさんのおかげでプレーできた。まだ力はないけど(将来は)チームに不可欠な投手になりたい」。大好きな野球と、一生歩むと心に決めた。【保坂恭子】