チームNO・1の守備力で投手陣を助ける。第105回全国高校野球選手権記念大会(甲子園)で初戦を突破した仙台育英(宮城)は11日、兵庫県内で調整した。登藤海優史(とどう・みゅうじ)内野手(2年)は6日浦和学院戦で途中出場し、甲子園初安打をマーク。今春センバツ8強の経験を糧とする「守備のスペシャリスト」が、3年生と戦う最後の甲子園で奮闘を誓った。チームは12日、2回戦で聖光学院(福島)と対戦する。

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自身2度目の聖地で「Hランプ」を初点灯した登藤は、うれしそうに一打を振り返った。浦和学院戦は7回から二塁の守備に入り、10点リードの8回1死二塁、フルカウントから左前打で出塁。今夏宮城大会全5試合で途中出場したが、1打数無安打。この安打が今夏初安打となった。「1打席のチャンスをしっかりものにできてうれしい。家族もうれしがっていたので、打てて良かった」と笑顔を見せた。

今春センバツ準々決勝の報徳学園(兵庫)戦は9回に代走で起用され、以降は三塁の守備へ。1点リードの延長10回タイブレーク無死一、二塁、バント処理後に一塁へ送球しようとしたが、「一塁に誰も入っていなくて、投げるのを止めようとしたら止められなかった。変な形になって悪送球してしまった」。

同点適時失策となったが、なお無死一、三塁での内野ゴロをしっかり処理。同回2死満塁と粘るも決勝打を浴び、チームは4-5でサヨナラ負けした。須江航監督(40)は「登藤よりうまい内野手はうちには存在しないので、登藤のミスはミスだと思っていない」と強調。試合後にチームメートからは「次につなげていけばいいよ」と温かく、優しい言葉をもらい、2年生は気持ちを切り替え、前を向くことができた。「夏に向けて長所である守備を磨いて、また(甲子園に)戻ってこようと思って練習してきた」。

宮城大会は自身無失策。決勝は軽快なランニングスローで優勝を決めるアウトを奪い、3年生と甲子園に乗り込んだ。「センバツでは自分のエラーで負けてしまったところもある。取り返す気持ちもありつつ、しっかり一戦必勝で全員で勝ちにいけたら」。地元秋田代表のノースアジア大明桜は12日、八戸学院光星(青森)と初戦を迎える。「一緒に勝ち上がり、いいところで対戦できれば」。目の前のプレーを丁寧に。春の悔しさから成長した姿を夏に表現する。【相沢孔志】

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