優勝候補の慶応(神奈川)が、94年ぶりの対戦となった広陵(広島)との伝統校対決を制し、15年ぶりの8強進出を決めた。
今春センバツ初戦は仙台育英(宮城)に延長10回タイブレークで敗れたが、経験を生かしてセンバツ4強校に勝利した。延長10回に2点適時打を放った5番の延末藍太内野手(3年)は、先制打を含めて2安打5打点の活躍。準々決勝で沖縄尚学に勝利すれば、103年ぶりの4強。慶応ボーイズの旋風はまだまだ止まらない。
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1点リードした10回タイブレーク、2死満塁。打席に立った延末が2球目の直球を振り抜いた打球は、一、二塁間を破った。塁上で笑顔でガッツポーズ。大きな2点を加え「自分の役割を全うできて、いい結果が出て良かった」と喜んだ。 無死一、二塁から始まる延長10回は、1番丸田が強攻策の右前打でチャンスを広げた。今春センバツの仙台育英とのタイブレークでは、2番が犠打で送ったが、4、5番が倒れて無得点でサヨナラ負け。俊足で併殺打の可能性も低い好打者からの攻撃に、森林貴彦監督(50)は「今日は1番丸田だったので、打たせようということでした」と戦略の意図を語った。
積極的采配に選手も応え、序盤の3点リードを追いつかれながら、競り勝った。5打点で勝利に貢献した5番延末は「甘い球を一球で仕留める」がモットー。第1打席では低めの変化球を見極め、フルカウントから左前に流す先制打を放った。3回も1死二、三塁から二ゴロで三塁走者をかえした。「打った瞬間の歓声とか、抜けた瞬間の歓声とか、本当に気持ち良かった」と満面の笑みを見せた。
対峙(たいじ)するユニホームには特別な思いがあった。広島市で生まれ育ち、夏休みは甲子園で躍動する広陵の球児たちにくぎ付けになった。「よくテレビで見ていたなと思いながら戦っていました」。横浜高校出身の2歳上の兄勧太さんは3年時に甲子園に出場し、広島新庄戦では空振り三振に倒れた。故郷の代表校を相手に、弟が兄の分まで快音を鳴らした。
トレードマークの乱視対策ゴーグルは高校入学時から着用している。「試合前に必ず磨いています」と手入れは欠かさない。「目が悪い子たちが困っているなら、こういうのも選択肢の1つと思ってもらえたら」と未来の球児に勇気を与えた。
第2回大会の1916年以来、107年ぶりとなる「KEIO日本一」まであと3勝。「あと3つしっかり勝ちたい」。慶応の快進撃はまだまだ続く。【星夏穂】
◆慶応が2度目のタイブレーク 慶応は今年春の仙台育英戦以来のタイブレーク。甲子園のタイブレークを2度経験したのは星稜、木更津総合、仙台育英、報徳学園に次いで5校目。春夏両方では慶応が初。

