今夏甲子園準優勝の仙台育英(宮城)が、11年ぶり2度目の国体王者に輝いた。ベンチ入りメンバー18人全員が出場し、北海(北海道)とのシーソーゲームを9-7で勝利。8回に主将の山田脩也内野手(3年)が同点打を放ち、湯浅桜翼(おうすけ)内野手(2年)が勝ち越し打を決めた。雨天による日程変更を受け、同様に準決勝を制した土浦日大(茨城)との両校優勝で有終の美を飾った。

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仙台育英がワンチームで“日本一”をつかんだ。公式戦初登板の木村春人投手(3年)が9回から登板し2アウトを奪うと、最後は田中優飛(ゆうと)投手(3年)が左飛に打ち取った。ベンチ入り18人全員が戦力となり逆転勝利。須江航監督(40)は「美しすぎると思いますね。こんなに美しい野球とか勝利はないです。本当に尊い。なんかそれ以上の感情表現が、僕の語彙(ごい)力では出てこないですね」と選手たちをねぎらった。

最大4点差をはね返した。4回に5連打などで一挙5得点を挙げて一時逆転も、6回に3点を失い、再び劣勢に立たされた。だが、諦めない。6-7の8回1死三塁、山田が1ボールから中越えに同点の適時三塁打。続く湯浅は2ストライクからしぶとく右前に運び、勝ち越しに成功した。須江監督は3年生のラストゲームとなった北海との死闘をこう振り返った。

「もう3年間のすべてが詰まってますね。1年生の夏に甲子園に行けなくて県大会で負けて、2年生の夏に甲子園で優勝して、3年生の夏に甲子園で準優勝して、そこで酸いも甘いも、悔しいも喜びも、成功体験も失敗も、たくさんしてきたので、それがもう全部詰まった今日の試合だったと思います」

昨夏の甲子園で東北勢初優勝を飾り、2連覇を目指した今年は惜しくも決勝で敗れたが、3年生にとって最後の公式戦は勝利で締めた。山田や斎藤陽外野手(3年)ら1年時から活躍してきた選手、なかなか日の目を浴びなかった選手たちも今大会は適材適所で力を発揮した。

指揮官は「もうなんか人生のピークじゃないかと思うぐらいうれしいですよ。彼らの3年間の歩みに最後に1位っていう称号がついてくるなんて幸せすぎます」。国体優勝をスタートラインに、それぞれが新たな道に進む。【山田愛斗】

▽山田脩也主将(3年、国体で有終の美を飾ったが)「日本一を目標にやってきたんですけど、神宮(大会)とセンバツと夏(の甲子園)は優勝できずに、最後の国体、集大成で日本一を取れたのは3年生もそうですし、宮城に残っているメンバーも含めて全員の力でつかんだ優勝だと思う。すべての人に感謝したいです」

▽湯浅桜翼内野手(2年、3年生との最後の公式戦だったが)「いろいろと支えてもらったり、面倒を見てもらった3年生の方々だったので、やっぱり笑顔で終わるってことが一番の恩返しじゃないですけど、笑顔で終われるために自分ができることをやりました」