快進撃を続けてきた耐久(和歌山1位)が近畿ベスト4で敗れた。近畿の一般選考枠は6枠あり、春夏通じて初の甲子園は確実にしている。

エース冷水(しみず)孝輔投手(2年)が6回に失策から失った1点が致命傷になった。0-1の投手戦を落とし「6回は流れが変わりやすいところ。ミスをカバーできなかった」と責任を背負い込んだ。

ただ、和歌山から1イニングをのぞいて投げ続けてきたエースは、まぎれもないセンバツ当確の立役者。「近畿大会ではピンチでも直球を多投して最少失点に抑えられた。自信を持って直球を投げられるようになったのが成長だと思う。強いチームとやると楽しい。余裕を持って、いい力感で投げられるようになりました。まだスタミナが足りないので、しっかりトレーニングして全国のいい投手に負けない球を投げたいです」。甲子園を意識して目線を高くした。

一家にとってはおめでた続きの1週間だった。冷水が甲子園を確実にした翌日のこと。同じく耐久のエースだった中部学院大2年の兄秀輔が、明治神宮大会行きを決めた。東海地区・北陸・愛知の3連盟による代表決定戦では好投連発でMVPに輝いた。兄からは「神宮で待っているぞ」と激励されていた。冷水は惜しくも神宮に届かなかったが「いつも応援してくれる。今度は僕が応援したい」と、一足先に全国大会を控える兄にエールを送った。

ペリーの黒船が浦賀に来航する1年前の嘉永5年創立という伝統校だが、甲子園は果てしなく遠かった。「この1週間、地域やOBの方々から声をかけていただいて、学校でもおめでとうとたくさん言ってもらいました」と冷水は感謝。さらにレベルアップして晴れ舞台に向かう。