8季ぶり6回目出場の熊本王者、熊本国府が5-1で21年センバツ準Vの明豊を下し、06年創部以来の初優勝を飾った。オリックス山本由伸投手のフォームをまねる最速135キロのエース右腕、坂井理人(まさと)投手(2年)が、精度抜群の高校初無四球1失点完投でけん引。V候補の今夏甲子園4強・神村学園、明豊の連続撃破を自信に、九州王者として、未知の明治神宮大会に挑む。今春の有明に続く、熊本勢の2季連続優勝になった。

「肥後の山本2世」こと坂井が、今夏甲子園メンバー7人を擁す明豊打線を封じた。

高校初の無四球1失点完投。最後の打者を宝刀スライダーで右飛に打ち取ると、右手を天に突き上げガッツポーズ。9回に1点を失い、初完封を逃したが「公式戦の完封はないが、ずっと(8回まで)無失点でうれしかった」。九州屈指の強打封じに自信をつけた。

「昨年冬からすり足をまねして、バランスをとるため、少しだけ足を上げている」という「山本投法」で翻弄(ほんろう)だ。日本シリーズを見て「コントロールがすごい。変化球のキレがあらためてすごいと思った」といい、目に焼きつけた。大一番で「バッターのタイミングを外せた」と手応え十分だった。

チームはバッテリーを中心の堅守が持ち味。2時間練習の7割がシート打撃など守備練習に割く成果でもあった。部員80人全員が熊本の中学野球部出身で、硬式経験者は1人。スーパースターはいない地元っ子軍団だが、私学強豪校に勝てる模範を示した。

初の明治神宮大会へ「まずは1個。1勝を積み上げて、いい形で終われるようにしたい」と坂井。全国舞台でも旋風を巻き起こす。【菊川光一】