来春の第96回選抜高等学校野球大会(24年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠地区候補9校が発表され、東北地区からは、仙台一(宮城)が選出された。同校は、1892年(明25)に宮城県尋常中学校として創立され、本年度で132年目を迎える伝統校。また偏差値は「69」と県内屈指の公立進学校でもある。今後は、来年1月26日に行われる選考委員会で、全国で2校の「21世紀枠」を含む代表32校が決定する。

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74年ぶりの甲子園へ、1歩前進だ。硬式野球部は1897年(明30)創部と県内最古で、初めての出場は1923年(大12)夏の第9回大会。最後に聖地に立ったのは1950年(昭25)夏。長い歴史の中で、再びチャンスが巡ってきた。

小川郁夢(いくむ)主将(2年)らが選出を知ったのはちょうど授業中。選手たちは、「やったね」とひっそり喜んだ。午後4時半、学校から約7キロ離れたグラウンドに続々と集合。喜びもあったが、練習前のミーティングでは「選ばれなかった東北のチームや他の地域のチームなど、何千校と選ばれていない高校がある。その方々の気持ちも背負ってこれからやっていくぞ」と小川。チームに慢心はなかった。

選出理由の1つには、同校が参加している「ふるさとの杜再生プロジェクト」が挙げられた。海岸から3~4キロ離れた仙台市若林区荒井にある同校のグラウンドは、11年の東日本大震災で仙台市内で唯一、津波により甚大な被害を受けた。長期間にわたって活動が困難だった経験から、19年から現在まで、地域住民と協力して海岸防災林の育樹活動を行っている。千葉厚監督は「防災林の減災効果は非常に大きい。次世代の、仙台の子たちを守れるように」と思いを語った。ミーティングルームには当時の被害の写真もあり、小川は「被害を少しでも抑えようという気持ちを持って、毎年取り組んでいます」。次世代を守る取り組みが評価された。

人事を尽くして天命を待つ。指揮官は「選ばれたときに、それに値するようなチームになっているように努力を続けていく」と力を込めた。次世代へ、震災の記憶をつなぐ仙台一が、東北地区の思いも背負い、春の甲子園切符を待つ。【濱本神威】