聖光学院で主将を務め、U18日本代表で「世界一」に貢献した高中一樹内野手(18)が、東都大学2部リーグの東洋大に進学する。U18日本代表では周囲のレベルの高さを痛感。さらにレベルアップを図り、甲子園で成し遂げられなかった「日本一」を同大で果たし、4年後のプロ入りを目指す。

  ◇  ◇  ◇

22年夏、甲子園で初の4強入りを果たし、歴史を塗り替えた先輩から託されたバトン。主将に抜てきされた高中は「自分に務まるのだろうか…」と不安もあったという。だが、「一番自分が近くで(先輩たちを)見てきたので、良いものを引き継いでいこう」と覚悟を持って新チームをスタートさせた。

斎藤智哉監督(60)が最も重視する「人間力」を胸にチームをけん引してきた。「道を踏み外す選手が1人でもいたら絶対に勝てないと思うので、逃さずに厳しく言ってきた」と生活面や規律など、野球以外の部分から徹底し、全員で勝利をつかみ取る「チーム力」に重点を置いてきた。残念ながら「日本一」には届かなかった。だが「苦しいこともたくさんあったが、全員が同じ方向を向いて戦えたことが勝ち負けよりもうれしかった」と振り返った。

プロか大学進学か…。悩んだ末の決断だった。「今のままではプロの世界で通用する力が足りないと思ったので、大学でもう一度鍛え直そうと思った」と進学を決意。2年時からスカウトを受けていた東洋大を選んだ。また、「世代ナンバーワン」が目標だったが、U18W杯(昨年9月、台湾)で現実を思い知った。「(代表選手は)ものすごい技術を持っている選手ばかりで自分の現在地を知った。まだまだ『世代ナンバーワン』とは言えない」とレベルの高さを痛感した。

成し遂げられなかった目標を大学でかなえる。これ以上、屈辱は味わいたくない。甲子園で流した悔し涙を糧に「全てにおいてレベルを上げなくてはいけない」と誓い、「日本一」を達成してうれし涙を流し「世代ナンバーワン」として4年後、プロ入りを果たす。【木村有優】

 

◆高中一樹(たかなか・かずき)2006年(平18)1月12日生まれ、愛知県日進市出身。名古屋平針HBCで小1年から野球を始め、日進西中時代は東名古屋ボーイズでプレー。聖光学院では1年秋に背番号「4」を背負い、公式戦デビュー。22年夏の甲子園で初の4強に貢献。22年秋から主将としてチームをけん引。U18W杯で「世界一」に輝いた。178センチ、81キロ。右投げ右打ち。50メートル走6・2秒。