21世紀枠で第96回選抜高校野球大会(18日~、甲子園)に出場する別海(北海道)が水戸葵陵(茨城)と練習試合を行い、1-4で敗れた。

部員数16人。7番左翼でスタメン出場した関口光樹外野手(1年)は3回裏からイスに座り、ボールボーイを務めていた。

「レフトのポジションが決まっていない中で、3回までしか出れずに、自分のアピールできる機会を自分で削ってしまって、すごく悔しかったです」

強風はスギ花粉だけでなく、白球も散らした。初回、2番打者の打球が定位置前に落ちる。「思ったより伸びずに」。追いつけなかった。雪国のオフは長い。関口にとっては今年初めての実戦。3回、同じ打者の高い飛球がまた来た。

「今度は風に流されて」

嫌なイメージがよぎる。ボールに対してポジティブに動けない。「いつものプレーができなかったです。やばいなって焦りはありました」。白球はグラブに収まらず、ポーンと弾んだ。交代を命じられた。悪循環。代わった選手も、次打者の飛球に同じようなミスを繰り返し、流れが完全に決まってしまった。

パイプイスに座り、ボールボーイを務める。懸命に声を出す。同じ中学から来た友人でもある坂野下瑛太マネジャー(1年)が「打撃はいいと思うんですけど、最近、守備や走塁がちょっと…」とネット裏から心配そうに見つめる。

東京23区より広い別海町の西部にある、中西別中学校の出身。小学2年で野球を始めた。でも中学は生徒数の少なさから、男子には選択肢が卓球部しかなかった。それが中2になると、町内の4校合同の野球チームに加われることになった。「見るのもするのも好きだし」。迷わずに野球を再開した。

酪農の仕事をする両親は朝3時台には起きている。「毎朝つらいと思うんですけど、すごいなと思います」と尊敬する。甲子園、晴れの舞台。時には仕事後に学校まで送ってくれる両親にも、晴れの姿を見せたい。だから。

「守備を徹底的に鍛えたいです。風は感覚だと思うので。ノックをたくさん受けて身につけたいです。鍛え直したいです。自分が活躍というより、チームの勝ちを最優先にプレーしたいです」

現時点で足りないものを思い知った。でも涙はない。下も向かない。試合後、島影隆啓監督(41)はチーム全員に投げかけた。

「何のために甲子園に出るんだ? 負けたチームなのに選んでもらったんだろ?」

もう一度考え、かみしめた先にきっと、次はチームを救うプレーが生まれる。【金子真仁】