<高校野球神奈川大会:日大藤沢10-8法政二>◇17日◇等々力

敗れた法政二・絹田史郎監督(60)は柔和な表情で記者の質問に応じていた。8点ビハインドから奇跡の大逆転か…という流れを生み出した、内田悠人投手(3年)の5回1失点の好救援に質問が及ぶまでは。

「そうですね…」

ちょうど近くに内田がいた。泣いていた。絹田監督も言葉が出ない。視線をずらす。まぶたも唇も小刻みに震える。45秒間。何より雄弁な沈黙だった。

球場外ではオレンジ色で統一した保護者たちが待っていた。ピンク色の日大藤沢ナインを笑顔と大きな拍手で送り出し、やがて泣きながら紺色のウエアに着替えた子どもたちがやって来た。最後のミーティング。絹田監督が再び口元を震わせ、小川達也主将(3年)があいさつし「みんな、後ろ向いて」と促す。

「最初圧倒される中で、自分たちへの応援が日藤の応援を圧倒してくれたから、勇気が出て、追い上げることができました」

オレンジも紺もおえつが止まらない。2色の抱擁もあった。良き師良き友、良き親子、集い結べり-。小川は「強い法政二高を取り戻してほしい」と後輩たちに願った。強いまなざしでそれらを目撃した1、2年生が古豪復活の使命を継承する。【金子真仁】