大分大会2回戦で波乱が起きた。県内一の公立進学校で知られる大分上野丘が春の県4強・鶴崎工に逆転勝ち。先発したエース右腕、梶原遙仁(はると)投手(3年)が9回を132球の力投で1失点完投勝ち。8安打を浴び、6イニングで塁上に走者を背負ったが気迫の投球で最少失点に抑えた。2季連続で初戦敗退を喫した文武両道ナインが、最後の夏にシード校を撃破した。福岡大会は福岡大若葉が東筑を下し、創部初の8強を決めた。
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梶原は雄たけびを上げ、グッと右こぶしを握った。
「最後はちょっと欲が…。うれしかったのでガッツポーズが出ました」
0-1の8回に4得点で逆転し、最終回のマウンドへ向かった。「最後まで投げるつもりで」。先頭を右飛、次打者は空振り三振。最後は渾身(こんしん)の直球で詰まらせ、一ゴロに打ち取った。132球の力投。「気持ちでいった」。球威は衰えず。要所で投げ込むチェンジアップ、スライダーもさえ、最少失点で踏ん張った。
チームの士気は最高潮に達していた。試合前の円陣。背番号9の猪ヶ倉(いがくら)悠斗主将(3年)が仲間を集め、熱く問いかけた。「何かに対して人生をかけたことがあるか。俺はまだない。俺は今日の試合で野球人生をかける。他にかけるやつはおるか?」。ナインは一斉に手を挙げ、キャプテンに呼応した。梶原は言う。「気持ちが1つになった。みんなグッときって」。チーム一丸で、夏の大分大会前の前哨戦とされる県選手権優勝の強豪を倒した。
毎年、現役で10人以上の東大合格者を輩出する県内一の公立進学校。授業は7時間授業で、平日の練習は約2時間と限られる。「短くてどれだけ濃い練習ができるか。ノックでも1球にこだわってやっている」とエースは胸を張る。練習後は学校の自習室で勉学に励むのが当たり前。塾に通う選手もほとんどで、文武両道をどこまでも貫く。
「気を抜かずに、できることを精いっぱいにやっていきます」と金星にも、梶原は足元を見つめる。秀才軍団の夏はまだまだ続く。【佐藤究】

