福岡135チームの頂点に立ったのは、西日本短大付だった。日本ハム新庄剛志監督(52)の母校が福岡大大濠を5-2で下し、3年ぶり7度目の優勝を飾った。2-2の同点で迎えた8回2死一、二塁。8番山下航輝捕手(2年)が値千金の決勝3ランを放った。新庄監督が高3夏決勝で敗れた宿敵からリベンジ星。現チームも昨秋、今春と2季連続で涙をのみ、最後の夏に意地と執念を見せた。選手権大会は8月4日に組み合わせ抽選会が行われ、同7日に開幕する。
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右翼へ伸びていく大飛球を見届け、西日本短大付の山下は確信した。
「完璧でした。当たった瞬間に『いったな』と」
振り抜いた瞬間、バットを放り投げた。一塁へ駆け出し、ダイヤモンド周回中に2度、目頭を押さえた。
「野球人生で一番、鳥肌が立った。いろんな思いがこみ上げてきて、一番いいところで打てたかな」
2-2で迎えた8回2死一、二塁。「神様がくれたチャンスだなと」。自分の前を打つ7番が申告敬遠で歩かされ、チャンスの場面で打席が巡ってきた。
「目の前での敬遠だったので、ちょっと悔しかった。打ってやる気持ちしかなかった」
カウント2-2からの7球目、真ん中高めにきたスライダーをフルスイング。打球は右翼スタンド中段に飛び込んだ。直前の6球目に右翼へあと少しで本塁打のファウルを放った直後の1発。味方も驚く“打ち直し弾”で試合を決めた。
「ずっと負けていたので。決勝でやり返すしかないと思っていた」
並々ならぬ覚悟で臨んだナインの思いを代弁した。福岡大大濠に公式戦3連敗中。現チームは昨秋、今春と1度も勝てていなかった。かつて新庄監督も3年夏の決勝で敗れた宿敵だった。
「大濠に勝たないと、夏は甲子園に行けない」
“打倒大濠”がチーム内の合言葉だった。この日はリードされても2度追いつき、ついに勝ち越しと執念を見せた。決勝の大一番でリベンジを決め、夏は3年ぶり7度目の福岡制覇だ。
「本当にうれしいです」
ゲームセットの瞬間は、ナインの誰もが感極まった。マウンド上で思い思いに飛びはね、人さし指を真夏の青空へ突き上げた。
「甲子園でも1つ1つを積み重ねて全国制覇を狙いたい」
135チームが出場した激戦区福岡の頂点に立った。次は92年夏以来の甲子園Vを目指す。【佐藤究】
◆山下航輝(やました・こうき)2007年(平19)12月17日生まれ、福岡県八女市出身。小学2年から野球を始め、黒木中ではポニーリーグの筑後リバーズに所属。西日本短大付では2年春に背番号12で初めてベンチ入り。好きなプロ野球選手はレッドソックス吉田正尚。50メートル走6秒8、遠投90メートル。169センチ、74キロ。右投げ左打ち。
西日本短大付 先発村上太一投手(3年)が9回129球の熱投で完投した。キレのある直球を軸に、得意球のカットボールで打たせて取った。8安打を浴びたが要所で踏ん張り、2失点(自責1)にとどめた。5回に西村慎太郎監督(52)から「最後までいけるか?」の“ゲキ”に、「行きます。行かせてください」と志願。6回以降は無失点に抑えた。「みんながカバーしてくれた。苦しい場面もあったけど勝てて良かった」と充実の汗をぬぐった。

