山口大会では南陽工が4-3で下関国際に逆転勝利し、14年ぶり4度目の甲子園出場を決めた。広島で活躍し「炎のストッパー」と呼ばれた故津田恒実氏の母校。「津田魂」を継承する二刀流の阿部和希外野手(2年)が同氏の座右の銘「弱気は最大の敵」を胸に刻んで攻守に貢献した。132球に気合を込めて6安打3失点完投。試合を振りだしに戻す値千金の左越え2点二塁打を放った。
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チームのモットーである「弱気は最大の敵」が頭に浮かんだ。阿部は力投を続け9回無死一塁から三ゴロ併殺。その後連打で一、二塁とされた。だが、最後は「プロで強気で立ち向かった津田さんは理想です」という「炎のストッパー」ばりに渾身(こんしん)の直球で勝負アリだ。空振り三振に仕留めると「2アウトから国際が粘り強かったので解放されたというか。それが体に出ました」とほえてガッツポーズ。魂を継承する後輩が14年ぶりの歓喜の渦にのみ込まれた。
苦しかっただけに喜びはひとしおだ。2回、四球や投ゴロ一塁悪送球の走者をかえされて2失点。3回にも失点して「自分のミスで3失点した。序盤自分の投球ができず、あせりがあった」。だが「監督がベンチで絶対大丈夫やからと励ましてくれた」といい、息を吹き返した。
高校時代、1学年上だった故津田氏と対戦し「バスケットボールが飛んできたと思った」という剛球が記憶にある山崎康浩監督(62)は「弱気になると諦める。勝利を信じられないのが弱気。最後気持ちがブレなかったから、投げるボールにブレがなかった」と阿部を評す。4回以降、無失点でミラクル逆転劇を呼び込む快投だった。
打っても5番で大活躍だった。2点を追う8回2死一、二塁だった。内角寄りのスライダーを左越え2点二塁打とし、土壇場で振りだしに戻した。昨夏決勝で敗れた雪辱。昨年は主に中堅手だったが「最初からやっていた」と投手も兼ねる。甲子園では「チームが勝つなら何をしてでもやるという感じです」と全力を尽くす覚悟だ。聖地でも魂のこもったストレートで勝負する。【菊川光一】
◆阿部和希(あべ・かずき)2007年(平19)10月3日生まれ。山口・周南市出身。野球は小学校低学年からリトルエンゼルスベースボールクラブ周南で始める。福川中学では山口防府ボーイズ所属。南陽工では1年夏からベンチ。179センチ、70キロ。
◆南陽工 1962年(昭37)創立の男女共学県立校。学科は機械システム、電気、応用化学。生徒数346人(女子16人)。野球部創部は63年。部員40人。甲子園は春5度、夏は14年ぶり4度目。主なOBは元広島津田恒実、元阪神岩本輝。所在地は山口県周南市温田1の1の1。斉藤英一郎校長。

