<全国高校野球選手権:東海大相模8-1広陵>◇16日◇3回戦
山口にとって、高尾は「原動力」そのものだった。「高尾を超えないとエースになれない。全国でも勝ち切れる投手になれない。1つの目標でした」。1年時から背番号1を背負い続け、全国の舞台で活躍してきた同期の背中を、入学時からずっと追い続けてきた。
まず“敵を知る”ことから始めた。「高尾にいろんなことをアドバイスしてもらったり、聞いたりした」。体の使い方、直球の質の上げ方、変化球の投げ方、ウエートトレーニングの取り組み方など、聞けるだけ聞いた。投球練習時は「俺が投げてるの見といて」と頼んだ。昨冬から「高尾が持ってない変化球」というチェンジアップやカーブを磨き、武器にした。
努力が実を結び、広島大会では高尾より2試合、2イニング多い6試合、21イニングを投げ、優勝に貢献した。巡ってきた聖地デビュー戦。東海大相模戦に先発し、5回途中3失点で降板した。「高尾に悪い流れで譲る形になってすごく悔しい」と自分を責めた。
卒業後は大学へ進学し、野球を続ける。「高校では高尾に勝ちきれなかった。これからも常に『高尾を抜く』という気持ちで練習して、プロで通用する誰にもマウンドを譲らない強い気持ちで投げられるピッチャーになりたいです」。遠かった背中は、手の届くところまできた。【古財稜明】

