仙台育英(宮城)の1番打者、田山纏(まとい)外野手(2年)が鮮烈な甲子園デビューを果たした。聖地初打席の1回、鳥取城北の好投手・田中の速球を流し打ち、左翼フェンス直撃の二塁打。得点にこそ結びつかなかったがチームに勢いを与え、4回の第3打席には右翼線に適時二塁打を放った。思い切りの良い「切り込み隊長」が、3年ぶり全国制覇に向けてチームを引っ張っていく。
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甲子園初ゲーム開始を告げるサイレンが鳴った直後、二塁ベース上では田山の大きなガッツポーズがさく裂していた。左翼線への大きな当たりは、左翼ポール付近に直撃し、スタンドまでもう少し。二塁打となったが、強烈なインパクトを与えるには十分すぎた。「本当は入ってほしかったです」と笑いながら本音を漏らすも、「甲子園の初打席だったので、打てて本当にうれしいです」と話した。
これだけでは終わらない。4回に3点を入れ、なおも2死一、二塁の好機で田山。今度は引っ張って右翼線へ適時二塁打と、長打を広角に打ち分けた。「打球方向はイメージしていなくて、思い切り振った結果です」と振り返った。
思い切りの良さは昔からだ。中学までは主に地元茨城でプレーしてきた。「ガツガツ攻めていくプレースタイルで、『どんどん強く、思い切り振ってこい』という指導方法で育ってきました」。これが、メンタル面にも大きな効果をもたらした。「技術よりもメンタル。迷っていたら絶対に打てないと思っているので、『決めたら行く』という強い気持ちを持っています」と大舞台にも物おじは一切しなかった。
さらに、コミュニケーション力にも自信あり。これがチームには欠かせない。この日も球場までのバス内で緊張していた1年生に声をかけた。二遊間でスタメン出場した1年コンビが無失策。打撃でも得点にも絡む活躍をした。「緊張している雰囲気を和ませるのは得意です」。名前の「纏(まとい)」に込められた「いろいろな能力を纏ってほしい」という願い通りだ。
8回に足がつり、守備終了後にタンカで退場したが、次戦以降に問題なし。2回戦では初戦で延長タイブレークを制した開星(島根)と対戦する。「1番バッターの出塁が点数のきっかけになると思いますし、いろいろな戦略も絡められると思うので、出塁にこだわりたいです」。仙台育英の“切り込み隊長″ここに在り。【木村有優】
◆田山纏(たやま・まとい)2008年(平20)6月4日生まれ、茨城県出身。小1から鉾田当間スポーツ少年団で野球を始め、小6時に横浜DeNAジュニアに選ばれた。中学では江戸崎ボーイズでプレーし、全国ベスト4、東日本大会優勝を経験。177センチ。78キロ。右投げ左打ち。
▽和賀颯真内野手(3年=先制打含む2安打)「1打席目は緊張して自分の力が発揮できなかった。ひとまず1勝して、次につなげることができて良かったです」
▽高田庵冬(あんと)内野手(3年=1安打1打点)「ずっと夢の舞台だったので、まずは本当に楽しかったです。自分の打撃の結果としては内容がなかったというか、淡泊な攻撃が多かったので、次に向けてそこを修正して臨みたいです」
◆開星対仙台育英 2回戦でぶつかる両校は10年夏1回戦でも対戦。当時の開星は同年春に野々村監督が21世紀枠の向陽に1-2で敗れた後、「末代までの恥。腹を切りたい」などと発言したことで辞任。山内弘和新監督の初陣だった。185センチ、91キロの巨漢エース白根尚貴(元DeNA)、糸原健斗(現阪神)らを擁し、5-3とリードしたが9回表2死無走者から3点を奪われるまさかの逆転負け。1点差に詰め寄られた後、試合終了かと思われた平凡な中飛が落球となり、2者の生還を許した。

