春夏通じて初出場の聖隷クリストファーが3年ぶり2度目出場の明秀学園日立(茨城)を5-1で下し、甲子園初勝利を挙げた。先発のエース高部陸投手(2年)が9回4安打1失点完投。今月1日に57歳で他界した武蔵嵐山ボーイズ時代の恩師・飯野靖典さんに好投を届けた。県勢としても3年連続の初戦突破となり、夏通算90勝の節目の1勝となった。14日の2回戦は、西日本短大付(福岡)と対戦する。

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最後は、一番の武器で試合を締めた。5-1の最終回。マウンドを守ってきた聖隷クリストファーの高部は2本の安打を許し、2死一、三塁のピンチを招いた。勢いを増す相手の応援が響き渡る中、投じた107球目。「自信がある球は真っすぐ。攻めよう」。139キロの高め直球で詰まらせ、中飛に打ち取った。

腹の前で拳を握り、ほえたエース。駆け寄る仲間と喜びに浸った。「上村(敏正)監督に1勝をプレゼントしたいという思いがずっとあった。まず1勝。素直にうれしく思う」。9回を投げきり、4安打1失点。危なげない内容で、チームに記念すべき「甲子園初勝利」をもたらした。

“初陣仕様”の投球が光った。静岡大会で最速147キロの直球が主体だった配球を変更。変化球の割合を増やした。三振は4つ。文字通り、緩急で相手打線を打たせて取った。初回1球目に死球を与えるなど、自身も緊張を感じた甲子園初戦を念頭に「みんなも緊張している。まずは足を動かすことを考えた」と明かした左腕。狙い通りの投球でリズムを生み、打線の9安打5得点を呼び込んだ。

今月1日、中学時代に所属した武蔵嵐山ボーイズ(埼玉)の飯野靖典監督が他界した。飯野さんは85年夏の甲子園で、東農大二の2年生正捕手としても活躍した。先月28日、静岡大会優勝を報告した時には「甲子園は楽しいぞ。楽しんでこいよ」と背中を押してもらった。高部は「楽しむことを一番、意識した。中学時代に教わったことも生かして、思い切って投げられたと思う」。天国で見守る恩師にも勝利を届けた。

中4日で迎える14日の2回戦では、西日本短大付と顔を合わせる。高部は「もう1勝、また1勝と勝ち上がっていきたい」と目を輝かせた。上々の甲子園デビューは通過点。まだまだ、夏を楽しむ。【前田和哉】

◆高部陸(たかべ・りく)2009年(平21)1月5日生まれ、埼玉県深谷市出身。小学1年から根住少年野球で競技を始める。中学時代は武蔵嵐山ボーイズでプレーし、2年春の全国大会優勝。左投げ左打ち。家族は両親と姉2人。174センチ、68キロ。血液型O。

◆聖隷クリストファーのセンバツ選考漏れ 21年秋の東海大会で決勝に進出。日大三島(静岡)に3-6で敗れたが、22年センバツは東海地区からの選考枠が2枠で初出場が有力視されていた。しかし、選出されたのは準決勝で日大三島に5-10で敗れた大垣日大(岐阜)。選考を疑問視する声が次々と挙がり、国会でも取り上げられるなど世間で波紋が広がった。