厳しい冬を越えて花が咲いた。仙台育英が仙台一を8-0で下し、初戦から連続コールド勝ちで県切符をつかんだ。昨夏「令和のアライバ」として甲子園を沸かせた「アリスナ」コンビの有本豪琉(たける)内野手(2年)が三塁打含む3安打3打点。全打席出塁と、ひと冬の成長を結果で示した。仙台商は仙台二に9-1で勝利。聖和学園も泉を11-1で下し、いずれもコールド決着となった。

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守備だけじゃない! 仙台育英の有本がバットでも魅せた。1打席目から逆方向の右中間を抜く三塁打。その後も右前打、左前打と広角に打ち分けた。「逆方向への意識が結果につながりました」。今春の練習試合解禁直後の実戦では、引っ張り癖の影響で思うような結果が得られずに悩んだ。だが、須江航監督(43)からも助言も受け、逆方向に着目。意識1つで脅威の打者へと変貌(へんぼう)を遂げた。

1年前、入部したての初々しさも残る中で公式戦デビューを飾った姿から一転。ひと冬を越えて下半身は一回り大きくなり、たくましさが増した。「冬は自分と向き合う時間もあったので、筋トレや食生活も見直して、ご飯を多く取ったりしました」と課題だったフィジカル面の強化に徹した。その結果、昨夏から体重は10キロ増え80キロに。まさに努力の結晶だ。

今年はパワーアップした姿で新しい有本を見せる。打撃は「1試合3割」を最低ラインに据えた。「要所でも1本を打ち、チームの主軸を担えるような選手になりたいです」。一方で“守備職人″の肩書も譲れない。主に二塁を守る有本は「公式戦無失策」を掲げた。「守備の機会が多いポジションなので、守備の質は絶対に落とさないように、シートノックも含めてノーエラーを心がけていきます」と力強く口にした。

昨夏チームは4季ぶりに甲子園出場を果たし、止まっていた時計の針を動かした。有本も出場機会をつかみ取り、鮮烈なデビューを飾った。だが、今春センバツ出場はかなわず。「本当に悔しかったです」。この1年で酸いも甘いも味わった。「先輩方が動かしてくださった時計の針を絶対に止めないようにしたいです」。成長にゴールはない。さらなる進化を求めて進み続ける。【木村有優】