<高校野球岩手大会:盛岡工5-2高田>◇16日◇2回戦

 津波による壊滅的被害を受けた高田は盛岡工に2-5で敗戦。復興を目指す地元に勝利を届けられず、ナインは涙を止めることができなかった。

 高田は地元への思いを込め、右袖に「陸前高田」の文字を追加した新ユニホームで大会に臨んだ。ベンチには栃木県に転校した元チームメートの亡くなった家族の写真があった。勝つことはできなかったが、大和田将人主将(3年)は「周りに支えられて今まで頑張ることができた」と感謝の言葉を口にした。

 沿岸部にある高田は津波で校舎がほぼ全壊。生徒にも犠牲者が出た。野球部でも約3分の1が自宅を流され、親族を亡くした部員もいる。練習は4月下旬に再開したが、グラウンドは仮設住宅建設で使用できず、他校のグラウンドや球場を借りるなどして練習を積んできた。

 佐々木明志監督(47)は「少しでも高田のためにと頑張ってきた。負けてしまったが、一生懸命やれたんで、少しは力になれたのではないか」と絞り出した。

 試合が行われた岩手県金ケ崎町野球場には高田高の生徒や保護者が多数詰め掛け、大きな声援を送った。