<高校野球千葉大会:成田2-1銚子商>◇16日◇3回戦

 成田の4番、倉嶋優捕手(2年)が「2振り」で試合を決めた。1点リードの6回、左翼席に白球が吸い込まれるのを見届けると、驚きの表情でダイヤモンドを1周する。3回にも左翼席へ先制となる公式戦初本塁打。自分でもビックリの2打席連発だ。古豪銚子商との対戦で、立ち見が出るほどの観客であふれかえった球場は大歓声に包まれた。ベンチに戻ると、「あまりのうれしさに、つい…」と興奮気味の尾島治信監督(42)に抱きしめられた。

 春の県大会は右手首負傷の影響でベンチ外だった。5月に通算3、4、5本塁打を立て続けに放ち、5番から4番に昇格。昨夏の甲子園4強のレギュラー3人が残る中で勝ち取った。小4の頃から続ける父徹さん(41)と行う“秘密特訓”の効果だった。自宅で約5メートルの距離から父が投じるスポンジボールを黙々と打ち返すこと約1時間。畳はすり減り、ぼろぼろだ。ボールは不規則に揺れるため、変化球の対応に役立っている。この日の1本目はカーブを見事にとらえてみせた。

 昨夏はスタンドから応援した。「今日は出来過ぎです。次回もつなぐ意識を忘れずに勝利に貢献したいです」。頼もしい4番がチームに勢いをつける。