<高校野球青森大会:野辺地西11-8弘前学院聖愛>◇24日◇準決勝

 野辺地西が延長14回、弘前学院聖愛を下し初の決勝進出を決めた。病気療養中の鈴木直勝監督(63)を甲子園に連れて行こうとナインが団結した。光星学院は木造にコールド勝ち。決勝は青森大会史上初の系列校対決となった。

 野辺地西の願いを乗せて白球が飛んで行った。14回表2死一、二塁から1番工藤翔平中堅手(3年)の右越え三塁打でついに2点勝ち越し。さらに1点を加えた。その裏はエース小林大誠(3年)が3人で仕留めた。ナインが抱き合い、喜びを爆発させた。

 苦しい試合だった。佐藤裕次監督代行(24=大会は監督登録)は「鈴木監督がナインに、夏には必ずこんな試合があると言っていた。そして『最後まであきらめるな。1球1球を大事に』と。ナインは辛抱強くそれを実行してくれた」と言う。毎試合後、仙台の病院に入院中の鈴木監督に電話で報告。「よかったなあ。次も頑張れよ」と激励してくれた。

 佐藤監督代行は福島県出身。クラーク記念国際(兵庫)、八戸大と捕手だった。野辺地西のコーチ・職員となり3年目。今年2月、鈴木監督が倒れて監督代行になった。畑中裕章部長(57)は「寮で選手と一緒に暮らし、兄貴的存在。鈴木監督の指導方針を受け継ぎ、選手と一体となっている」と評した。

 1回戦から6試合を勝ち抜き、最後の相手が光星学院に決まった。佐藤監督代行は「1戦必勝。同系列は関係ない。投手陣が相手の強力打線を抑えれば」と闘志をあらわにした。【北村宏平】