<高校野球福岡大会:九州国際大付11-2東筑>◇27日◇決勝

 悲願の甲子園制覇へスタートだ。福岡大会はセンバツ準Vの九州国際大付が東筑を大差で破り、2年ぶり4度目の甲子園出場を決めた。エース三好匠(3年)が2失点でこの夏初完投。福岡県代表の春夏連続出場は00年柳川以来、11年ぶりとなる。

 春夏連続出場はエースとして「定位置」で決めた。九州国際大付の三好は最後の打者を二ゴロに打ち取ると、小さくガッツポーズを作り女房役の高城俊人主将(3年)に笑みを向けた。決勝の大一番で、この夏2度目の先発となったが、序盤からの大量リードにも守られて8安打2失点。無四球でスイスイと107球の今大会初完投を果たした。「今日は三好の表情を見て大丈夫だと思った」と若生正広監督(60)もベンチで安心して見つめていた。

 センバツ準V右腕に夏の大会直前にピンチが襲った。大会前に熱が下がらず、病院へ行くと腎臓を痛めていると診断され、1週間の安静と点滴治療を受けた。初戦から三塁の守備に入っていたが「走るのもきつかった」という状態。とても投げられなかった。福岡北部大会は控え投手に任せ、毎日30球コツコツ投げ込んで登板に備えた。ようやく準々決勝の福岡工戦で先発したが、9回途中で足がつり降板し、8回1/3で4失点だった。「あのときはまだ投げ込み不足だった」。準々決勝でもまだ体力はまだ戻っていなかった。

 マウンドで働けない分、バットでは文句なくMVP級の活躍を見せた。6試合で22打数11安打で打率5割。3回戦から準々決勝まで、満塁、3ラン、2ランと3試合連続本塁打を放つなど17打点を挙げ全国トップレベルの打線を引っ張った。「打撃は調子良かった。0-0ではきついので打って投手を助けたかった」。バットでチームに貢献しようとした。

 現在は春の7、8割の状態まで戻っている。春は1歩届かなかった頂点へ、再び挑戦する。「どこが来ても自分の投球をして勝ちたい」。エースはさらに付け加えた。「それと、本塁打も打ちたいです」。春の甲子園で2本塁打を放った打者としても、夏の舞台を楽しみにしている。【前田泰子】

 ◆九州国際大付

 1958年(昭33)私立八幡大付属として男子部が開校。89年に現校名。普通科のみで生徒数は1437人(女子は562人)。野球部は58年創部で部員数は87人。春は2度、夏は4度目出場。OBにオリックス日高剛ら。所在地は北九州市八幡東区枝光5の9の1。伊東正和校長。

 ◆Vへの足跡◆2回戦8-0小倉南3回戦10-1小倉西5回戦8-0福岡魁誠準々決勝9-4福岡工準決勝4-0大牟田決勝11-2東筑