<高校野球福島大会:須賀川4-3小高工>◇27日◇準決勝

 前日の降雨ノーゲームで順延された試合は、須賀川が小高工に逆転勝ちし、41年ぶり2度目の決勝進出を決めた。1点を追う9回表に2得点。右腕エース須藤渉(3年)が今大会5試合連続の完投勝ちを収め、女房役の小針翔太捕手(3年)が決勝打を放った。今日28日の決勝で4連覇中の聖光学院に挑戦する。

 まさに恵みの雨だった。15年ぶりの準決勝進出で「雰囲気にのまれ、地に足がついていなかった」と木村保監督(40)が言う前日は3回途中に中止。緊張感から解放されたナインは、得意のシーソーゲームに持ち込んだ。1点を奪い合う展開で7回に勝ち越され、迎えた9回に勝利の女神がほほ笑んだ。7番小林雄大(3年)の適時打で同点としてなお1死二塁。8番小針が中堅に決勝打を運んだ。

 大会直前を思えば、信じられない快進撃だ。関東遠征した6月、練習試合で13連敗を喫した。小山(栃木)に2-23で大敗するなど2ケタ失点の連続。捕手の小針は「どう配球しても打たれる」と悩んでストレス性胃腸炎に倒れた。バッテリーで借りを返すべく、エース須藤は大会前に1日200球を投げ込んだ。今大会は5試合連続完投勝利。計650球の熱投で41年ぶりのファイナルに導いた。

 3月11日、須賀川は震度6強。渡辺俊樹遊撃手(2年)は、祖母が倒壊家屋の下敷きになった。4月8日まで登校禁止。その間、部員は県内各地でボランティア活動を行い、木村監督は「新聞記事で生徒が支援活動していたことを知った」と自主性に驚いた。練習再開後も倒壊寸前の格技場に隣接していたブルペンが6月末まで使用できないなどの逆境下、大会を通して成長してきた。

 今大会5試合中、4試合目の1点差勝ち。粘って競り勝ち続け、聖光学院に挑む。「相手が聖光でも最少失点で競り勝つ」。須藤は言葉に自負を込めた。【木下淳】