<高校野球北北海道大会:釧路湖陵10-3標茶>◇28日◇釧根地区1回戦◇釧路市民

 釧路湖陵が8回コールドで標茶を下し、快勝発進した。4番の津坂隼也中堅手(3年)が、先制の2点適時三塁打を含む3打数3安打2打点と活躍。打席内でバットをプロペラのようにくるくる回す独特の動作でリズムを取り、快音を響かせた。

 1回表1死二、三塁、左打席に入った津坂が、右手でバットの中心を持ち、くるくると器用にバットを回転させた。「気持ちが落ち着くんです」と構えに入る前のルーティン。平常心で捉えた打球は中堅を越え2点適時三塁打。1点差に迫られた6回無死からも三塁打を放ち、大量6点を奪う口火を切った。「高めの直球をうまく打てた」。佐藤静一監督(42)は「3年生がよく打ってくれた。津坂はなかでも長打力のある選手」と話した。

 プロ選手をまね、自己流を織り交ぜスタイルを作り上げた。「プロペラ打法」は、マリナーズのイチローのような、打席での一連の動作を体得したいという思いから。中学2年の時、元西武の野田浩輔が打席に入る前にバットを回している姿を見た。「自分もバトントワリングをまねしてバットを回転させようと。最初は捕手側に回そうと思ったんですけど、左手でできなかったんです」と、ちょっぴり修正はしたが、自分のものにした。テークバックは西武中島裕之が見本。この日は自分で考案した極端なオープンスタンスも取り入れた。「調子が悪かったですが、本番でなんとか打てた」と結果につなげた。

 道内屈指の偏差値を誇る同校の理数科に通う。父和文さんは神経内科の医師、兄翔一さんは北大医学部に在籍する。津坂の目標も2つ。甲子園出場、そして医学部への進学だ。練習を終え午後8時に帰宅。午前1時まで机に向かう生活にも「眠くなると素振りをしています。野球も勉強も頑張りたい」。高校生活最後の1年、2つの夢をかなえようと努力を続ける。【上野耕太郎】