<高校野球静岡大会:常葉学園橘1-0聖隷クリストファー>◇25日◇準決勝◇愛鷹球場

 常葉学園橘は、延長14回に2死一、二塁とすると聖隷クリストファー・鈴木翔太投手(2年)から途中出場の青島勢奈外野手(2年)がサヨナラ打を放ち、優勝した10年以来の決勝に進んだ。

 「絶対に決めてやる気持ちだった」。延長14回2死一、二塁で青島が右打席に入った。カウント2ボール2ストライクからの5球目のフォークを捉えた。「自分なりに振り切った」分、三遊間に横っ跳びの遊撃手のグラブをはじいた。「小学校以来」というサヨナラ打で、二塁走者の志水啓修外野手(3年)が生還。27回0行進を続けていた相手エース鈴木翔から得点を挙げ、チームを2年ぶりの決勝に導いた。

 好素材が伸び悩んでいた。中学3年の夏、付属中の軟式野球部エースとして、全国中学大会で日本一。ボールは違うが、硬式の浜松リトルシニアで日刊スポーツ杯県大会準優勝が最高の鈴木翔より実績は上だった。昨秋も遊撃でレギュラーと順風満帆に見えたが、この春にポジションを失った。「チャンスで打てず守備でもミスをしていた」。今大会は背番号15で臨んだ。

 右翼の西川賢弥(3年)が2回戦の東海大翔洋戦で左足を骨折したことで、外野手として出番が回ってきた。この日は7回に代走で起用され9、12回の打席では凡退。黒沢学監督(35)は守備固めで交代を考えたというが、ラストチャンスで最高の結果を出した。「ああいうところで勝負を決められるのが青島」。指揮官も日本一を経験した勝負強さを信じていた。

 これまでのふがいなさを振り払う一打に青島も自信を取り戻した様子だ。決勝に向けては「チャンスがあったら結果を出して優勝に導きたい」と語った。2年ぶりの甲子園へ、大舞台に強い男が加わった。【石原正二郎】