<高校野球西東京大会:佼成学園7-4片倉>◇26日◇準決勝◇神宮球場

 佼成学園が磯崎紀大(もとひろ)投手(3年)の力投で、優勝した74年以来38年ぶりに決勝進出した。片倉戦で130球で9安打5三振4失点完投。同校は74年以降、07、11年に準決勝敗退していただけに「先輩の歴史を変えられてうれしい」と壁を突破した喜びを語った。

 130キロ台の直球を微妙に動かし、打たせて取る投球術がさえた。直球狙いを察知し、6回まで無安打無得点。変化球を見せながら、7回の先頭打者に内野安打されるまで18アウトのうち14を内野ゴロで稼いだ。「スイスイいけばいいなと思っていた。みんなに守ってもらうから、奮起できる薬になればいい」と三振を狙わず、野手のリズムを重視した。

 14日の初戦(2回戦)から全5試合で完投し、582球を投げた。それでも「冬は3日で500球を投げた」といまだ余力を残す。投げ込む中、立大で助監督、社会人のリクルートとローソンで監督を務めた藤田直毅監督(49)と二人三脚でフォームを改造。体重移動など合理的な体の使い方を学び、夏の安定した投球につなげた。

 決勝は、磯崎が「西東京の顔」と表現する日大三が相手だ。前回対戦した昨年春の都大会決勝ではブルペン待機。延長で敗れ「無力さを感じた」という。3月にインフルエンザで体調を崩したため、春季大会の実績でついた背番号は10だが、今夏は不動のエースに成長。「やってきたことを出し切りたい」と自らの力を試すべく、昨夏全国王者にぶつかっていく。【斎藤直樹】