<全国高校野球選手権:飯塚6-4広島工>◇8日◇1回戦

 広島工の高校通算45発男、宇佐美塁大内野手(3年)は、不完全燃焼のまま初戦で姿を消した。飯塚(福岡)戦の5回に適時二塁打を放ったが、4打数1安打1打点でノーアーチに終わり、逆転はならなかった。今後はプロ、大学などでスケールアップを目指す。

 初めての甲子園は苦い思い出となった。「本塁打のイメージはできている」と1発予告していた広島工・宇佐美の夏の全国舞台はわずか1試合で終わった。

 リードを許す展開が打席での自信と感覚を微妙に狂わせた。3打席目の5回無死一塁から131キロの直球を捉えた。打球は左中間を深く破る適時二塁打となったが、納得できなかった。「真っすぐを狙っていい形でいけた。ただ、芯を外してしまった。思い切りがあればよかった」と話した。

 目は真っ赤だった。首をひねりながら言葉を絞り出した。4打数1安打1打点、本塁打ゼロの不完全燃焼だった。

 高校1年から管理栄養士をつけた。補助食などで食事に気を配りながら体をつくってきた。「効果はあった。データを取って、1カ月に1度会って話し合ってきた」。栄養と練習の相乗効果で、3年になって20本以上、高校通算45本塁打まで数字を重ねた。

 2年のとき、OBの阪神新井と初対面した。体格とスケールの大きさに驚いた。大会直前に元部員が強制わいせつ容疑で逮捕されたときは落ち込んだ。それでも、木下主将や仲間から励まされて乗り越えた。泣いたり、笑ったり、多くの貴重な経験をしてきた。

 「野球を続けたい。もっと上のレベルで続けたい」と言葉に力を込めた。今後の進路をプロ、大学などから選んでいく。この1試合で将来への自信が砕けることはない。【中牟田康】