<明治神宮大会:北照3-1京都翔英>◇10日◇高校の部1回戦◇神宮

 高校の部で2年連続出場の北照(北海道)が、近畿大会優勝の京都翔英(近畿・京都)に逆転勝ちし8強入りを決めた。1-1の7回裏1死一、二塁で、9番西谷圭祐三塁手(2年)がバントミス後に、勝ち越しとなる右前適時二塁打を放った。この回4安打を集め、2点を奪い勝負を決めた。4強入りした昨年に続く初戦突破を果たし、12日の準々決勝で沖縄尚学(九州・沖縄)と対戦する。

 失敗しても萎縮しない精神力で、北照が勝ち越した。7回裏1死一、二塁、西谷が外角低めスライダーにしぶとく食らいついた。フラフラと上がった飛球は、右翼手手前に落ち、右翼線方向に跳ねた。二塁走者の村上海斗右翼手(2年)が生還。西谷は「打つ方向だけを右に決めていました。落ちろと願っていました」と喜んだ。初球、2球目とバントを試みファウルに終わっていたが、追い込まれても、慌てなかった。

 続く代打の沢田拓海一塁手(2年)が、右前打で3点目を奪った。安打は相手7本に対し、北照8本。両チームとも3盗塁。数字的には互角ながら、7回に4安打を集めて勝利を引き寄せた。主将の吉田雄人中堅手(2年)は「個人の能力では向こうが上でした。でも僕たちには経験の力がありますから、焦らずに落ち着いていたのが逆転につながった」と振り返った。

 西谷、吉田をはじめ、高山大輔左翼手、小畑尋規捕手、富田魁仁遊撃手(いずれも2年)の5人は昨年のこの大会でもスタメンで、大串和弥投手(2年)も救援で2試合を投げた。沢田も、昨年代打として出場。準優勝の愛工大名電(東海・愛知)などとの2試合は貴重な経験になっている。河上敬也監督(53)は「序盤から中盤とみんなが我慢できた。ミスもあったけど、そこでバタバタしなくなった」と成長を認める。

 チームはこれで公式戦連勝を9に伸ばした。7月に白ネコが野球部寮に迷い込んでから快進撃が続く。大会前、白ネコ「トミ」が寮の消火器をひっくり返し、一面が真っ白になった。腹に黒模様があったトミも全身真っ白。「白イコール白星」。そんなアクシデントも、選手たちは吉兆として受け止めるなど、チームのムードは明るい。

 昨年は12年ぶりに4強に進出した。初の決勝進出も目標に据える。吉田主将は「今日は勝ったけど監督のやりたい野球ができませんでした。バントもきちっと決めたい」と気を引き締めた。【中尾猛】