<高校野球東東京大会:城東2-1日体荏原>◇19日◇5回戦◇神宮第2

 “都立の星”城東が、身長160センチエース山口泰弘投手(3年)の好投で7年ぶり8強進出を決めた。日体荏原を4安打1失点に抑え、今大会初戦から4完投。3回戦で昨夏Vの成立学園、4回戦で堀越を下し、3戦連続で強豪私学を倒した。12年ぶり3度目の甲子園へ勢いは止まらない。

 身長160センチの小柄なエースは、私学を倒すことに燃えていた。日体荏原の最後の打者を右飛に打ち取ると、城東の右腕エース山口はマウンド上で両腕を突き上げた。甲子園を決めたかのようにナインはマウンドへ走り、山口を囲んだ。「非常にうれしいです。ここまで勝ち上がることができて良かった」。4安打7奪三振、1失点完投での大物食いに、笑顔を見せた。

 今大会3回戦で昨年優勝の成立学園、4回戦で堀越、そしてこの日は日体荏原と強豪私立校を破った。対戦した先発投手の身長は全て10センチ以上も大きかったが、完投で投げ勝ち、鉄腕ぶりを発揮している。

 最速137キロと驚くほどの球速はないが、コーナーに投げ分ける。球種については「教えられません」と企業秘密。それでも「丁寧に投げるのが僕の特徴です」とニヤリと笑った。全試合完投できるだけの体力には、自信がある。今年の冬場には、1週間で合計1000球を投げて肩のスタミナを作る過酷な練習を1カ月間続けた。「連投の方が調子が良い」と、この日も疲れを感じさせなかった。

 高校進学時、「私立校を倒したい」との思いで、都立校への入学を決めた。江戸川で野球をやっていた父勝也さん(49)の影響もあったという。チームを7年ぶり8強に導き、準々決勝(21日)の相手は、偶然にも父が高校3年夏の東東京大会4回戦で0-7と敗れた二松学舎大付が相手だ。「父親の分も勝って、甲子園に行きたい」と意気込んだ。都立の星として、快進撃を続けるつもりだ。【細江純平】

 ◆山口泰弘(やまぐち・やすひろ)1995年(平7)4月8日、東京・江東区生まれ。小4から亀戸浅間野球クラブで野球を始める。高校では1年秋から2番手投手としてベンチ入り。趣味はグラブ鑑賞。160センチ、65キロ。右投げ右打ち。家族は祖父と父、弟。