<全国高校野球選手権:修徳8-2大分商>◇9日◇1回戦

 大分商は修徳(東東京)に逆転負けした。

 大分商の4番福地隼人(3年)が自慢の足で魅せた。まずは8回表2死一塁。「2アウトでも走ります」と、あっさり二盗を決めた。次打者の5番後藤が四球で出塁。一、二塁となった場面では、続けざまに三盗(一塁走者・後藤と重盗)に成功だ。一瞬の間に連続で盗塁を記録し「走れる4番」を甲子園で見せつけた。

 高校通算230盗塁を超え、失敗はわずか5という。三盗は100ほどだ。1試合で6盗塁決めた経験もある。50メートル走は6秒1とチームトップではない。2番水口は「あいつは感覚で走る。けん制アウトは見たことがない。自分は50メートル走6秒で走塁には自信があるけど福地にはかないません」。自慢の加速力と状況判断、抜群の走塁技術で盗塁の山を築いてきた。

 ベンチ、チームメートからの信頼も厚い。この日の2盗塁は、どちらも渡辺正雄監督(40)のサインではない。監督からは「いつでも行け」と任されている。チームには、一塁に福地が出塁した場合、後続打者は「100%決めてくれるから絶対にバットを振らない」という決まり事もあるほどだ。大舞台でもきっちり成功。福地は「けん制が来ないと確信して、いけるなと思った」と胸を張った。

 福地は「今日は4打数1安打なので25点です。でも全国の舞台で盗塁成功できてうれしかった」。笑顔で最後の夏を終えた。【辻敦子】