<全国高校野球選手権:西脇工4-1石見智翠館>◇11日◇1回戦

 西脇工(兵庫)が石見智翠館(島根)を下した。

 地元兵庫の公立校が初勝利だ。西脇工のエース翁田は「ベンチ、アルプスだけじゃなくて外野席や内野席も声援をくれました」。初回2安打とボークで1点を許すが調子を取り戻す。その後は走者を出すものの要所を締めた。9回2死一、三塁の場面では球場から大きな手拍子が起こった。その4球目にこの日最速の142キロを記録。最後は自慢のフォークで空振り三振に切った。

 夏の大会でベスト8止まりだったチームが聖地で1勝。昨年の秋季大会、3回戦ではあと1歩のところで勝利を逃した。「このままでどないすんねん。甲子園に出られない」。木谷忠弘監督(40)が中心となって粘れる野球を目指した。

 同校は全国高校駅伝男子で8度優勝経験を持つ陸上の名門校。野球部と同じグラウンドでは陸上部も練習する。冬場は同部のトラックを利用した。前年は200メートルを10本だったが、400メートル25本と増量。バットを振る量も増やした。30分間の素振りを6秒に1回のスイングから3秒で1回に。冬場から積み重ねてきた底力が夏に開花した。「どういう状況でも選手の気持ちは変わらない」と木谷監督。

 甲子園初戦の前日には西脇市出身の歌手トータス松本(46)から声援が送られた。「祝!甲子園。ガッツだぜ、西脇工業」の色紙。地元をあげての初戦突破に期待が高まる中での1勝だった。【辻敦子】

 ◆駅伝&甲子園の全国Vは

 西脇工は全国高校駅伝の男子で最多の優勝8度を誇る。過去に駅伝と甲子園でともに優勝経験があるのは中京大中京、報徳学園、鹿児島実の3校だが、西脇工が続くか。