<高校野球山梨大会:市川6-0甲府昭和>◇10日◇1回戦◇山日YBS

 市川のエース河西晨帆(ときほ)投手(3年)が昨夏の雪辱を果たした。甲府昭和を相手に7回1死から右中間二塁打を許すまでノーヒットノーラン。9回に3四球で招いた2死満塁のピンチも遊飛でしのぎ、練習試合も含め初完封でチームに勝利をもたらした。

 2年でエースを任された昨夏は、初戦(対甲府商)2-10で7回コールド負け。精神的に成長するために、身延市内の実家を離れ、学校近くの宝寿院という寺で下宿を始めた。練習時間も増え、自立することで心身面も鍛えられた。

 野球部OBでもある兄友雅さん(23)の背中を見て市川に入った。練習試合では母順子さん(44)に動画を撮ってもらい、友雅さんとともに投球フォームを研究した。先週末には友雅さんと温泉に行き、「自信を持っていけ。自分の投球をすれば大丈夫」と激励された。

 9回を1安打5四死球で無失点。ノーヒッターは意識せず、試合に勝つことだけに集中して投げた。試合後、「球速が出ない分、低めを意識し、1球1球丁寧に投げた」。兄が行けなかった甲子園を目指し、頂点へと突き進む。【鈴木みどり】