<全国高校野球選手権:近江8-0鳴門>◇16日◇2回戦

 近江(滋賀)は鳴門(徳島)を破り、7年ぶりに初戦突破した。

 近江の“琵琶湖打線”が爆発した。2回に打者9人の猛攻で一挙5得点。6回にも4連打で3点を追加するなど、12安打8得点の猛攻で県勢夏30勝を達成した。日本航空から転校し今春から公式戦出場が可能となった植田は3安打2打点2盗塁。「緊張したけど、甲子園でやったろ!

 と思っていた。今日はそれができました」と胸を張った。

 かつては「夏の近江」と呼ばれたが、多賀章仁(あきと)監督(54)は「なかなか勝てなくて、苦しかった」。そこで、冬場の練習方を変えた。ひたすらバットを振る練習法から、原点に戻り「冬場はしっかり体幹を鍛えよう」と考えた。100メートル100本ダッシュと腹筋と背筋500回ずつを毎日交互に繰り返し、美濃部主将は「体力面に自信を持つことができた」。厳しいトレーニングで強い肉体を手に入れた。

 今春、スポーツ用具メーカー「ZETT」の身体能力テストを受験。全国122校が対象となり、筋力や、運動能力を測定する。歴代王者に君臨していたのは日大三(西東京)だったが、1位を奪った。

 滋賀大会では決勝を除く5試合でコールド勝ち。チーム打率は、出場校の中でトップの4割9分1厘。そこに、50メートル5秒台から6秒前半の俊足が6人と色も加わる。多賀監督は「テーマは『超積極野球』。1人出れば、犠打で1死二塁となるのでなく(足を生かし)今のチームでは、無死一、三塁になれる」と手応えを感じていた。

 目指すは、01年の準Vを超える頂点のみ。日本最大の湖をイメージしたブルーのユニホームを身にまとい、帽子の「O」のデザインも01年仕様に戻した。植田は「この目立つ青いユニホームをもっと知ってもらえるよう、頑張ります」。7年ぶりの夏の1勝。近江の夏はまだまだ続く。【小杉舞】

 ◆身体能力測定

 スポーツメーカーZETT社独自の野球に特化した身体能力評価システム。甲子園出場校や、プロ入り選手など延べ3万人(2012年3月現在)が測定。ベンチプレスやスクワットなどの最大筋力や、腹筋や30メートル走などの運動能力、専門体力のスイングスピードほか6項目20種目の能力を測定する。専門体力などの種目変更で野球に限らず他競技の測定も可能。