<高校野球北大阪大会:大阪桐蔭12-0箕面自由>◇6日◇1回戦

 新たなスター候補生がいきなりの1発だ!

 第90回全国高校野球選手権大会(8月2日開幕、甲子園)の北大阪大会で、優勝候補の大阪桐蔭が箕面自由に12-0と5回コールド発進した。プロ注目の1番打者、浅村栄斗(ひでと)遊撃手(3年)が高校通算17号3ランを含む3安打4打点。昨夏決勝で敗れた中田翔(日本ハム)の思いも背負い、2年ぶりの夏を目指す。

 今年の大阪桐蔭にも、見逃せない好素材がいた。プロ注目の浅村が、夏初戦で豪快な1発を放った。

 「打った瞬間、行ったと思った。いいスタートが切れて良かったです」。

 9-0で迎えた4回裏2死一、三塁。高め直球をたたいた打球は、勢い良く左翼芝生席へ飛び込んだ。ダメ押しの3ランは高校通算17号。チームを5回コールドの圧勝発進へと導いた。

 “怪物”中田が熱視線を浴びた昨夏も、2年生ながら正二塁手を務めた。今年は50メートル6秒2の俊足と打撃力を買われ、打順は8番から1番に昇格。「去年は周りの様子を見ながら打席に入っていたけど、今年は先頭打者として積極的にやれてる」。この日は第1打席で、詰まりながらも二塁後方へ運ぶと、もたつく守備を見て二塁を陥れた。第3打席でも右前へ適時打を放ち、3安打4打点と暴れまくった。

 「走攻守」3拍子そろい181センチ、78キロと体格も文句ない。魅力的な大型遊撃手に、プロスカウト陣も高評価を与えた。阪神畑山スカウトは「右にも打てるし、うまくとらえれば大きいのも出る。これから伸びる選手」と太鼓判。日本ハム当銀スカウトも「ソツがないね」と目を光らせた。

 1年前、大阪大会決勝で金光大阪に敗れた悔しさを忘れはしない。そのとき一緒に涙した「中田先輩」から、まだ激励の言葉はないが、日本ハムの球団タオルの差し入れが届いている。「今年のチームでは僕が1番経験がある。みんなに勇気を与えるバッティングをしたい」と浅村。強力な先頭打者に引っ張られ、大阪桐蔭の夏が幕を開けた。【木村有三】