<高校野球北大阪大会:東海大仰星7-4旭>◇11日◇1回戦

 上原先輩に負けられない!

 東海大仰星・吉田雅紀投手(3年)が粘りの4失点完投で初戦を突破した。今春スランプに陥ったが、高校の先輩、巨人上原浩治投手(33)を支えに復活。上原も果たせなかった夏の甲子園出場に、1歩近づいた。

 熱気の中で、マウンドの吉田は大きな息をついた。5-0で迎えた6回、無死一塁から連続四球で満塁。続く5番打者にぶつけてしまい、死球押し出し。6番打者にも四球で連続押し出し。4連続四死球で2点を失った。

 悩み抜いた今春が、吉田の頭によみがえった。ストライクを取れなくなった4カ月前と、今の投球が重なる。混乱した頭の中に、先輩の顔が浮かんだ。支えにしてきた上原先輩。「丁寧に自分を信じて投げよう」。気持ちを落ち着けた。そこから2者連続三振などで後続3人を打ち取った。苦しみながら初戦を突破。「しんどかった経験を生かすことが出来ました」と笑った。

 春の近畿大会大阪府予選が始まる4月上旬、異変に気がついた。以前と同じように投げているはずなのに、球が沈む。「走り込みが足りず、下半身が出来ていないのかとか考えました」。原因が分からず悩むころ、先輩の上原も不調に苦しんでいた。

 「自分と同じやな、と思い、上原さんを気にしていました」。今春、苦闘する大先輩を身近に感じた。「1球1球気にするより、自信を取り戻そう」と切り替え、投げ込みを行い、スランプを脱出した。

 上原の恩師で、吉田の復活も見てきた西豊茂監督(47)は「夏の初戦ですし、何があってもきょうはエース完投と決めていました。初戦で苦しんだことは、今後に生きると思います」と期待。初めての夏の甲子園に、大きな1歩を踏み出した。【堀まどか】