<高校野球福島大会:学法石川5-0郡山北工>◇12日◇2回戦

 6月に監督が交代したばかりの学法石川が5-0で郡山北工を下し、9年ぶりの甲子園出場に向けて好発進した。140キロ左腕の橋本健(3年)が4安打8奪三振で完封。県公式戦初采配で同校OBでもある鶴渕将監督(26)に、夏初白星をプレゼントした。

 甲子園出場12回(夏9、春3)の栄光を背負う「新生・学法石川」が、伝統の呪縛(じゅばく)を解き放った。橋本は3回まで無安打。4回以降4度、得点圏に走者を背負ったが、本塁を踏ませなかった。打線も派手さこそないが、小刻みに得点を積み重ねた。

 99年夏、エースとして甲子園に出場した鶴渕監督は「あいつ(橋本)は(現役時の)私より上なので、何も言うことはありません。打線も初戦ということを考えれば100点満点」と評価。就任34日目の夏初勝利に「プレッシャーはありませんでした。試合よりもノックの方が緊張しました」と安堵(あんど)した。

 連覇を狙った春の県大会で、まさかの初戦敗退。同大会まで部長だった鶴渕監督は、2年生レギュラー5人を3年生と入れ替え、チームの調和と結束力を高めた。選手たちはこれまで、無意識のうちに伝統の重圧に苦しんできた。鶴渕監督は「まず、自分たちのために楽しんで野球をやれ」と指示。完封勝利にも橋本は「野球を楽しみながら、チームが勝てばいい」と自然体だ。その鶴渕監督が出場して以来の甲子園へ-。佐藤大吾主将(3年)は「自分たちの力を出し切れば勝てる練習はしてきました」と自信を示した。【佐々木雄高】