<高校野球西愛知大会:愛工大名電11-0津島東>◇19日◇3回戦

 初戦の瀬戸戦で6-5と苦戦した昨年の王者・愛工大名電は津島東と対戦。“お家芸”のバント攻撃を軸に11-0の6回コールドで圧勝した。

 大会4連覇を狙う名電に「らしさ」が戻った。8-0で迎えた6回。無死から3連続バントヒットで満塁とすると、4番渡部雅人内野手(3年)が一塁方向へ転がすスクイズで1点。その後も犠飛、安打で2点を加点し試合を決めた。この日は4犠打に止まったが、再三バントの構えを見せて相手にプレッシャーをかけた。04年に準優勝したセンバツで1試合10バント犠打の大会記録を作ったチームらしく“お家芸”のバント攻撃でコツコツと得点を積み上げた。

 悔しさがあった。12日、瀬戸との初戦では9回表に1点を勝ち越され、4-5で迎えた9回裏2死一、二塁で、代打・貝本智顕外野手(2年)が2点適時二塁打を放ちサヨナラ勝ち。ヒヤヒヤの発進だった。それだけに「前回、谷底に落とされた感じ。今回はどれだけはい上がれるかと思っていた」と倉野光生監督(49)。6回コールド勝ちで初戦の悔しさをぬぐい去った。

 この日は秘密兵器もあった。木製バット2本をベンチに持ち込んだ。05年センバツ優勝した時以来となる試みだった。「足が速い選手が多い。バントの時に木製の方が打球が死ぬ」と倉野監督。長打不足もあり、夏の大会では初めて“魔法のつえ”を使用した。この日も1回、6回と2度使い、6回には主将の3番斎木駿外野手(3年)が木製でバントヒットを成功させた。

 ナインも納得の表情を浮かべた。斎木主将は「今日は名電らしい野球ができた。油断しないように次も頑張りたい」とニンマリ。東海地方で梅雨明けしたこの日、大会4連覇を狙う愛工大名電ナインの顔もさわやかに晴れ渡っていた。【桝井聡】