<高校野球宮城大会:仙台二3-0聖和学園>◇23日◇準々決勝

 仙台二が、背番号10の須賀航平投手(3年)の3安打完封勝利で、20年ぶり13度目の4強入りを決めた。緩急をつけた巧みな投球術で、聖和学園との延長15回引き分け再試合を制した。エース田中朋博(3年)の温存にも成功し、52年ぶり4度目の甲子園に向けて、24日の準決勝で優勝候補の東北に挑む。

 身長174センチの須賀は、1球1球を丁寧に投げ込んだ。110キロ台の直球に、90キロ台のスライダー、80キロ台のスローカーブをコーナーに投げ分ける。中学時代に所属した「将監ビクトリー」でコーチから勧められたサイド気味の独特なフォーム。「最初はいやだったけど、制球もつきやすいので」と説明する小さなモーションから放つボールで、聖和学園打線を翻弄(ほんろう)した。

 前日22日、聖和学園との準々決勝は、延長15回の激闘の末に引き分け。須賀は最終15回に登板し、1イニングを13球で完ぺきに抑えていた。勢いをそのままに、6回2死まで無安打投球。序盤に味方がくれた3点のリードを死守した。9回、最後の打者を右飛に打ち取ると、ナインにもみくちゃにされた。

 今大会初戦(蔵王戦)前日の9日、練習中に首を痛めた。20日に本格的に投球練習を再開したばかり。初戦から3試合は、前日14回まで185球を投げたエース田中が完投した。それだけに、須賀は「ずっと田中に任せきりだった。やっとチームに貢献できてよかった」と話した。

 20年ぶりの準決勝は東北。20年前の88年の相手も東北で、敗れている。この日、自ら須賀に先発登板を伝え、温存された形となった田中は「須賀の力投に応えられるように頑張りたい」。須賀も「継投も考えて、しっかり準備したい」と話した。52年ぶり4度目の甲子園をかなえるため、2人が力を合わせて強豪に挑む。【由本裕貴】