<高校野球北北海道大会>◇29日◇1回戦◇十勝地区予選

 「悲運の闘将」が、監督生活に別れを告げた。帯広南商は帯広三条に0-5で敗れた。85年から指揮を執ってきた清水寿幸監督(54)は「選手たちは、よくやった」と唇をかみしめた。「気持ちは選手たちと同じです…」と言うと、大粒の涙がほおを伝った。この夏限りで監督を退くことを決めていた。

 エース高木哲(3年)が4回裏に2失点。その後も小刻みに追加点を許した。「監督に勝利をプレゼントしたかった」。1カ月前、清水監督の勇退を知った。「監督を北北海道大会へ」を合言葉に、山角悠哉主将(3年)らは午後8時の練習後も帰らず2時間の自主練習を続けた。「胴上げしたかった」と山角は肩を落とした。

 指導者として四半世紀。「決勝で負け、絶対この次と思い、挑戦してまた負けて…。ただ、いい選手、いいチームと出会えました」。北大会12度出場。95、96、98、99年と4度決勝で涙をのんだ。バトンは4月就任の小林真基部長(37)に託される。清水監督は秋から部長として見守る予定だ。「監督辞めたら急に厳しくなったりしてね」。また、涙をぬぐい、笑みをこぼした。【上野耕太郎】