<高校野球静岡大会>◇10日◇1回戦

 静岡大会は昨年より1校少ない118校が参加、各地区で3試合ほぼ同時に行われた開幕戦は、中部地区の島田球場でまずサヨナラ勝ちの雄たけびが響いた。島田樟誠が延長10回に増田真也内野手(2年)のスクイズで藤枝北を2-1で振り切った。今春4月に島田学園から校名変更して最初の勝利だ。

 島田樟誠ナインが新たな歴史を刻んだ。同校OBも間違えることがないようにと、新校歌の歌詞は最後の節が「島田学園」から「島田樟誠」に変更されただけだったが、精いっぱいの力を込めて歌った。全速力で応援席に走るナインには最高の笑顔がはじけた。延長10回に決勝スクイズを決めた増田は「誇りを持って歌えました。最高の気分でした」と笑った。

 新校名での初陣勝利だ。1-1で迎えた延長10回1死三塁。カウント1-1からの3球目にスクイズを仕掛けた。代走の野川祐斗(2年)が悠々と本塁を陥れる完ぺきなバントでサヨナラ勝ち。生駒基樹監督(36)は「初球を投げた時点で相手が無警戒だった。校名変更後の開幕戦で初勝利ができたのは本当によかったと思う。正直ホッとしました」と胸をなで下ろした。

 エース原崎稔真投手(3年)も得意の投球術で好投した。走者がいないときは捕手からボールを受けて、約3秒後には投球を開始。カーブ、スライダー、シンカーを巧みに使い分け、試合全体を自分のペースに持ち込んだ。延長10回をわずか108球で完投した原崎は「自分にはテンポしかないと思っている。やっぱり完投は気持ちいいです」と満足げに話した。

 野球部は昨年から同校指定強化部になり、3月には新しい寮も完成した。5月の市内大会では19年ぶりに優勝するなど、環境を整備しながら着実に力をつけてきた選手が大一番で本領を発揮した。「まだまだここからが本当の戦いだと思っている。満足せずに進んでいきたいです」と生駒監督。増田も「この勢いのまま、甲子園まで行きたいです」と言い切った。「島田樟誠元年」に地元で最高のスタートを切った。【神谷亮磨】