<高校野球青森大会>◇11日◇1回戦

 この日開幕した青森大会では4月に校名が変わった青森東高平内が青森中央に1-11(6回コールド)で敗れ、再出発の白星を飾ることはできなかった。

 青森東高平内の出だしは快調だった。1回表、先頭の畑井翔(3年)が左中間二塁打で出塁。バントで送り、3番のエース菊池奏唱(そうた=3年)が右犠飛で先制した。開幕試合で今大会最初の得点を挙げた。だが得点はこれだけ。菊池が力投し、バックも懸命に守ったが、青森中央に打ち崩された。

 4月就任の前田祐生監督(27)は「選手は頑張ったのに、何もしてあげられなかった。私の責任」と言う。前田監督は五所川原工-仙台大と陸上選手で、野球は素人。練習試合で対戦校の監督にも教えを請い、勉強してきた。「特に3年生とはもっと一緒にやりたかった」と涙を流した。

 監督は野球初心者と聞いて、菊池は「不安もあった」と言う。だが、ノックのキャッチャーフライを隠れて1人で練習していたと別の先生から聞いたり、一生懸命指導する姿に打たれた。「とにかくやろうとする姿勢が大事だと教えられた。消極的だったみんなが積極的になってきた」。主将でもある菊池は振り返る。

 平内高から青森東高平内校舎になって最初の夏、校歌は歌えなかった。菊池は「監督さんに勝たせてあげたかった。次の試合も一緒にグラウンドに立ちたかった」と言う。部員は11人。3年生6人が抜ける秋以降は部の存続も厳しい。だが、この日グラウンドにぶつけた監督とナインのきずなが、新チームを奮い立たせるはずだ。【北村宏平】