<高校野球滋賀大会>◇21日◇2回戦

 将来性たっぷりのリョウ君だ!

 滋賀大会で楽しみな1年生ヒーローが出現した。近江の広瀬亮太投手(1年)が守山北との2回戦に先発し6回を2安打無失点と好投。チームも6-3で夏初戦をクリアした。中学3年生だった昨年の全国軟式大会で20校以上の高校から入学オファーを受けた逸材。最速135キロのストレートと変化球を巧みに使う大人びた投球術に、阪神と中日のスカウト陣も「いい球を投げる」と熱視線を送った。

 就任22年目の多賀章仁監督(50)が、目を見開いて驚いた。「1年生であれだけ投げられるのはすごい。間違いなく今後の近江を背負って立つ子やと思います」。01年夏の甲子園で準優勝実績のある指揮官からもらった最高の褒め言葉は、大仕事をやってのけた証しだ。大事な夏初戦で先発を任され、6回2安打無失点の快投で応えた広瀬に、満足そうな笑みが広がった。

 「3年生にとって最後の大会だし気合が入りました。変化球が良かった。3年生も後ろに控えていたし、楽に投げられました」

 日本中の高校関係者が注目していた逸材だ。中3だった昨夏、横浜で行われた全国軟式大会に出場。関東の強豪校など20校以上から入学オファーを受けた。それでも「地元から甲子園に行きたい」と生まれ育った滋賀の近江へ進学した。

 中学時代は週2度の休日があったが、4月に高校入学してから休みはまだ2日だけ。毎晩10時に家に帰るとご飯を食べてすぐに寝て、翌朝6時ごろに起きる日々だ。大好きな「NON

 STYLE」が出演するお笑い番組を見る暇はなくなったが、夢へと続く道があるからつらくはない。

 最速135キロのストレートと、縦に大きく割れる90キロ台のカーブを織り交ぜ6回で6三振を奪った。表情も崩さず淡々と投げる姿に阪神の池之上スカウト課長は「ていねいに、いい球を投げている」。中日の米村スカウトも「球にキレがある」と熱視線を送った。「甲子園は強豪が集まる場所。行きたい気持ちは強いです」と広瀬。2年ぶり11度目の夏の聖地を目指す近江に、頼もしいスーパー1年生「リョウ君」が現れた。【木村有三】