<高校野球広島大会>◇25日◇準々決勝

 広島観音がミラクル快進撃で初の4強進出だ!

 春季中国大会覇者で第1シードの広島工を11-6で下す大金星。知名度の高いサッカー部に負けじと、野球でも全国区を目指す。4強が出そろい、いよいよ佳境に突入。26日は休養日。27日にマツダで尾道商-如水館、広陵-広島観音の準決勝が行われる。

 ミラクル広島観音が中国覇者も撃破した。広島工の猛追から逃げ切った。8点リードで突入した9回裏。3点を返され、なおも1死一、二塁のピンチ。だが、二ゴロ併殺でゲームセット。その瞬間、ナインは優勝したかのように喜びを爆発させた。回を追うごとに増す一塁側からの応援も最高潮に達した。「本当にミラクルです。4強なんて考えられなかった…」と原野敏成監督(49)も興奮冷めやらない。

 神懸かっていた。8回の攻撃だ。3連打で1点を加えると、相手の失策続出もあり10人攻撃の一挙5点。投げては9回途中まで粘り、打っては2点適時打含む3打点の塚崎渉投手(3年)は「本当にうれしい。サッカー部の応援もうれしかった」と振り返る。全国レベルのサッカー部と共存しながら練習に汗を流してきた。“イレブン”からトップの技術を感じ、時には思考も教わった“ナイン”が初の4強に導いた。

 全国ラッシュの波が押し寄せる。サッカー部は高円宮杯第21回全日本ユース(U-18)選手権大会出場権を獲得。広島県高校総体初優勝の女子バスケ部はこの日、インターハイ開催地の沖縄に向かったばかり。野球部も負けていられなかった。

 最初のミラクルは22日、祗園北との3回戦だ。コールド負け目前の1-8で突入した7回の攻撃から3点、2点、3点を奪う劇的サヨナラ勝ち。そしてこの日の大金星だ。応援したサッカー部主将のMF村田直哉(3年)は「すごいとしか言いようがない」とナインの不屈の闘志を絶賛した。

 杉原敏彦校長(55)は言う。「文武両道、広島観音は今、エネルギーに満ちあふれている」。旧広島市民球場で高校野球公式戦最後の勝利を飾った。ミラクル快進撃の勢いで、準決勝で広陵にぶつかる。【佐藤貴洋】