開幕から約1カ月がたち、ヤンキースが球界を驚かせている。

打線の要であるジャッジ、スタントン、グレゴリアス、投手陣では先発エースのセベリーノ、セットアッパーのベタンセスらケガ人が続出。負傷者リスト(IL)入りしている選手は現在13人にも上るのだが、4月19日から6連勝、4月27日現在で貯金5と好調で、ア・リーグ東地区で首位のレイズに迫る勢いだ。

チームの勝利に大きく貢献しているのはまず、田中将大を含む先発投手陣。セベリーノが抜けたとはいえ、チームの先発防御率はリーグでレイズ、ブルージェイズに次ぐ3位の3・41をマークしている。特にメジャー3年目26歳の右腕ドミンゴ・ヘルマンが、ここまで4勝1敗、防御率1・75と大ブレークしていることがうれしい誤算になっている。

打線はチーム打率がリーグ11位だが得点はリーグ3位、本塁打は同3位タイと、ジャッジ、スタントンの大砲2人を欠いても爆発力を維持。この攻撃陣を引っ張っているのが、スターぞろいのヤンキースにあってほとんど目立たない存在だった一塁手ルーク・ボイトだ。

ボイトは17年にカージナルスでメジャーデビューし、昨年7月にトレードでヤンキースに移籍した3年目の28歳。プロ入りしたのは13年で、ドラフト22巡目指名での入団だったことから、ほとんど期待されない存在だったといっていいだろう。

しかしヤンキースのデータ分析チームは、そんなボイトに17年から目を付けていたという。ヤンキースはメジャーで最もデータ分析に資金を投入している球団であることはよく知られており、分析チームもドジャースと並んで約20人もの人員を配備している。

それによって他球団が気づかない細かいデータも拾い、分析しているわけだが、総勢20人のそのチームはまったく目立たないボイトの優れた面にいち早く気づいていたというわけだ。ニューヨークの地元メディア「リバー・アベニュー・ブルース」によると、キャッシュマンGMも「データ分析スタッフに、ボイト獲得を強く勧められていた」と認めているそうだ。

具体的に挙げると、ボイトは打球角度と速度が最も理想的な「バレルゾーン」で打球を放つ確率がメジャーでもトップクラスだという。そうした数値が移籍後、結果として期待通りに現れ、今季はここまでチーム最多の8本塁打、23打点をマーク。こうしてみると、主力のケガ人続出でもこれだけ勝っているのは、データ分析チームの陰の功績も大きいのかもしれない。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)