昨季のエンゼルス大谷やブレーブスのアクーニャらに続き、今季も新人が大いに目立ったシーズンだった。パドレスのタティス、ブルージェイズのゲレロ両内野手ら大物二世選手のデビューと活躍が話題を集め、アストロズのアルバレス外野手はベテランばりの貫禄で強打者ぶりを発揮、メッツのアロンソ内野手は新人本塁打記録チャレンジの最中で、注目が集まっている。

本塁打15本以上をマークする新人が5人以上出ることは、2年前の17年まで1シーズンもなかったが、昨季は15本以上の新人が大谷も含め7人。それが今季はさらに倍増し、すでに15人以上が15本以上。デビュー即華々しい活躍をする新人がいかに増えているかということだ。

スポーツイラストレイテッド電子版が9月9日付で、新人がデビューしていきなり台頭する要因を分析する記事を掲載していた。昨今の選手は若い時期からテクノロジー発展により高度に進んだトレーニングの恩恵を受けていること、高校や大学レベルのアマチュア大会がかつてより増加したこと、指導者側のスキルも向上したことなどを挙げている。高校、大学の選手はかつてはアメフットやバスケットボールなどとかけ持ちをすることもざらで、どのスポーツでもハイレベルのパフォーマンスをする「3スポーツ・スター」がいたが、最近の突出した選手は一年を通じて野球に集中するケースが多いそうで、その点も若い選手のレベルを上げている要因だと指摘している。

期待の新星の活躍は、ベテランや中堅のスター選手を押しのけてスポーツメディアのトップを飾ることも多い。新人の方がメディアの露出が多く、目立っているというのが最近の傾向だ。

先日も試合前のメッツのクラブハウスに行くと、大勢のメディアに囲まれていたのはやはり新人アロンソだった。そのときメッツはポストシーズン進出争いに残るには何としても負けられない局面にあり、アロンソはそれについて問われ「これから非常に重要な試合が続く。僕らは目の前の試合に集中し、力を出し切らなければならない」と模範的な受け答えをしていた。

このような質問に答えチームのスポークスマン的な役割を担うのは、少し前ならベテラン選手と相場が決まっていたが、アロンソほどの活躍をしていれば今は新人でもたちまちチームの顔として扱われる。メディア側の立場でいうと、体のケアなどで忙しいベテランは試合前のクラブハウスにいないことが多く、若手選手の方がつかまえやすいという面もある。こうして活躍する新人は、必然的にメディアの露出が増えていくというわけだ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)

オールスターの本塁打競争で準優勝のブルージェイズ・ゲレロ(2019年7月8日)
オールスターの本塁打競争で準優勝のブルージェイズ・ゲレロ(2019年7月8日)