最近、エンゼルス大谷翔平投手(27)の今シーズンの活躍で最も驚いた、印象に残ったシーンについて問われることがある。投打で同時出場するリアル二刀流で臨んだ4月4日のホワイトソックス戦。レギュラーシーズンではメジャー4年目で初めてだった。「さぁ、どうなるか」。そんな感覚で見ていた記憶がある。

エンゼルス大谷翔平(20年2月)
エンゼルス大谷翔平(20年2月)

すると1回の第1打席、初球の高め直球を完璧に捉え、右中間へ特大弾をたたきこんだ。この1発の衝撃は今でも忘れられない。ボールが破裂するような打球音、一斉に上がった歓声、ダイヤモンドを回っていた時の大谷の気迫…。何か震えるような感覚だった。

今思えば、二刀流の伝説幕開けのゴングだったのだろう。その後、何十年ぶり、約100年ぶりの記録が何度も生まれた。打って、投げて、さらに走る。記録がついて回った。驚かされたことは、シーズンを通じて続いた。

3戦連発をマークしたのはメジャー1年目の2度を上回る3度。6月は日本人の月間最多本塁打タイとなる13本のアーチを放った。日本人で初めて出場した球宴のホームランダービーは、優勝の筆頭候補ながら1回戦で敗退。翌日のオールスター戦では史上初となる投打で出場した。6月、7月と2カ月連続で月間MVPに選ばれ、球団史上初めての快挙も達成した。

驚異的な活躍の連続だった一方で、本塁打王争いでは9月にペースダウン。8月までは独走状態だったが、ブルージェイズ・ゲレロとロイヤルズのペレスに抜かれた。9月21日のアストロズ戦で45号アーチを放ち、トップまで1本差。三つどもえのタイトル争いから目が離せない状況だ。

エンゼルス対アストロズ 8回裏エンゼルス無死、右中間に45号本塁打を放つエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
エンゼルス対アストロズ 8回裏エンゼルス無死、右中間に45号本塁打を放つエンゼルス大谷(撮影・菅敏)

シーズン前、大谷は言っていた。「スタートがどうかっていうよりは、どういう感じで終わるか、最終的にどうなるかが大事」。開幕後に絶好のスタートを切り、シーズンを通して二刀流でファンを沸かせ、球界を盛り上げてきた。残り11試合。再び予想を超えるパフォーマンスを見せられるか。最後まで注目したい。(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)