エンゼルス大谷翔平投手(27)が活躍する一方で、東京五輪の野球も気になるところです。侍ジャパンは1次リーグを1位突破し、2日の決勝トーナメント初戦で最大の強敵、米国と激突します。メジャー40人枠から外れたメンバー構成とはいえ、名将マイク・ソーシア監督(62=元エンゼルス)率いる同代表には魅力的な選手が多いです。

過去のチームと同じく、中心はメジャー実績あるベテランたちです。特にレッズ時代の2015年オールスターのホームランダービーで優勝したトッド・フレージャー内野手(35)、元レイズのエース左腕スコット・カズミアー投手(37)、元ヤンキースのクローザー右腕デビッド・ロバートソン投手(36)らは、MLBファンならおなじみのビッグネームです。

しかし、私が注目してほしいのは若手有望株、いわゆる「プロスペクト」と呼ばれるスター候補生です。なぜなら、過去のオリンピックを振り返ると、2000年シドニー決勝でキューバを完封し、金メダルの立役者となったベン・シーツは後に球宴選出4度のエースに成長。08年北京で唯一大学生として代表入りした剛腕スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)らの若手も米国代表を支え、メダル獲得の原動力となってきたからです。

今五輪でも若い力は見逃せません。中でも最大の逸材は、レッドソックスNO・1有望株のトリストン・カサス内野手(21)です。キューバ移民の2世で身長193センチ、体重108キロを誇る左の大型スラッガー。傘下2Aでは特大アーチを連発しており、まるで大谷級のパワーヒッターです。決戦の舞台となる横浜スタジアムは本塁打が出やすいため、その特性を最大限に生かすピースでしょう。1次リーグ初戦から4番で起用され、7月31日の韓国戦では逆転2ランを放ち、期待通りの働きを見せています。

投手陣も、クイック投法から制球力抜群の右腕シメオン・ウッズ・リチャードソン(20=ツインズ傘下)、100マイル(約161キロ)級の剛速球を武器にする右腕シェーン・バズ(22=レイズ3A)ら、特長のある有望株がめじろ押しです。

さらに心憎い存在なのが、ニック・アレン内野手(22=アスレチックス2A)です。攻撃的イメージの強い米国代表ですが、伝統的に守備力を重視しており、内野の要となる遊撃には必ず名手を招集しています。同様に、まるで魔法使いのような曲芸的フィールディングから「マジックマン」の異名を取る名手を抜てきしました。打順は下位ですが韓国戦ではソロ本塁打を放っており、守備の人と侮ると危険です。

こうして見ると、米国のチーム編成には毎回感心させられます。稲葉ジャパンが「野球の母国」に、どのような策で挑むのでしょうか。大谷だけでなく、オリンピックからもますます目が離せません。(大リーグ研究家)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)