エンゼルス大谷翔平投手(28)らWBC日本代表の一部メンバー12人が6日、先行発表されました。今月下旬には残り18人のメンバーも発表予定です。中でも注目したいのが、栗山英樹監督(61)が11日に招集を明言したカージナルスのラース・ヌートバー外野手(25)です。

母久美子さんが埼玉・東松山市出身という日系大リーガー。日本代表の有資格者としてクローズアップされ、侍ジャパン初の日系メジャーになります。

左打ちの外野手で、2021年にカージナルスでメジャー初昇格。元々は守備の人でしたが、昨年頭角を現し、レギュラーに定着しました。マイナー時代から打席での忍耐強さや選球眼に定評がありました。また、コンタクト能力もあり、四球が多くて三振は少なく、広角に打てます。さらに、パワーアップによりこの2年間でスイングスピードは8マイル(約12・9キロ)もアップ。昨シーズン後半は1番にも起用されました。

昨年はオールスター以降、ナ・リーグ3位タイの41四球を選びました。四球率16・7%はメジャー全体でもアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、アドリー・ラッチマン(オリオールズ)、フアン・ソト(パドレス)に次ぐ4位という高水準。また、大学からマイナー、メジャーを通じて2桁本塁打は1度もありませんでしたが、昨年は自己最多の14発をマーク。パワーと選球眼を兼ね備えた1番打者に成長しました。

自慢の外野守備には定評があります。主にライトとセンターを守り、守備防御点などの指標はリーグ上位。広い守備範囲を生かしたダイビングキャッチなどの好守を再三見せています。

攻守両面での活躍もあり、昨年先発した試合でチームは53勝29敗、実に勝率6割4分6厘を誇りました。

栗山監督も彼をスタメンで使わない手はないでしょう。昨年のプレーオフでも、1番打者で打率3割3分3厘、出塁率5割ジャストと活躍。実績からも理想的なリードオフマンと言えます。ヌートバー、大谷が並ぶ1、2番コンビが見られるか、楽しみです。

一方、同じB組のライバル韓国は最終登録メンバー30人を発表しました。

現役メジャーでは、カージナルスのトミー・エドマン(27)が選出されました。両打ちの内野手で、19年にカージナルスでデビュー。21年は主に1番打者で起用され、ナ・リーグ2位の41二塁打、同2位の30盗塁とパワーとスピードを兼ね備えます。また、二塁手として初のゴールドグラブ賞に輝きました。

しかし、昨年は1番での先発出場機会は86試合しかなく、5月中旬に二塁から遊撃にコンバート。そこから課題の四球率が上がり、ハードヒット率も増加。2年連続で30盗塁以上を記録し、ショートでも好守備を披露し、地区優勝に貢献しました。

カージナルスの同僚で、年齢的に2歳違いのヌートバーとエドマンは、同じ1番打者タイプとしてライバル関係にあると言えます。WBCの「日韓対決」は2人にとってもアピールの場であり、ともに母の母国の期待を背負っての奮闘が、チーム勝利のカギを握るかもしれません。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

カージナルスのラース・ヌートバー外野手(ロイター)
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【イラスト】カージナルス・ヌートバーの年度別成績
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侍ジャパン予想選手
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23年WBC大会方式
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